日々の気づき

2023-09-21 00:09:00

新規事業の成功を妨げる大企業病とその克服策

新規事業を進める上で避けたい大企業病があります。以下がその課題です。

・チャレンジの減少

既存事業が安定している企業ほどチャンジ精神が少ないのではないでしょうか。新規事業の場合はチャレンジしても成功する確率よりも失敗する確率の方が高く、ボーナスの査定も下がってしまいます。更にチャレンジしたいと思う若い人が会社に見切りをつけて転職することもあります。そのようなことが繰り返されるとチャレンジする文化がなくなっていきます。

・臨機応変に対応できない

新規事業は進めていくうちに当初の計画と異なる形に変化する場合が多々あります。それは顧客のニーズが明確になってきたり、背景技術が進歩していったり、新たな技術が開発できたりするからです。しかしながら大企業の場合は、きっちりと計画を立てて、計画通り進める文化がありますから、いい方向に変わっても、悪い方向に変わっても修正しにくいです。一度決めたことをやり通す大企業の文化が臨機応変な動きが必要な新規事業には向いていない場合があります。

・顧客よりも上司の機嫌を取る

大企業はしっかりとした組織ですので、ボーナスの査定、人事評価は上司が握っています。そのため顔色を伺うのはある程度は仕方ないのですが、顧客ニーズよりも上司の顔色、社内政治を新規テーマの進捗に影響させてはダメです。

・意思決定が遅い

縦割り組織が原因で、意思決定が遅くてチャンスを逃しがちです。秘密保持を結ぶのに、上司の許可、役員の許可が必要で、法務部のチェックが入り、締結まで最短で1ヶ月、だめだと3ヶ月ぐらいかかる。中小だと数日でできる。何かの判断をする際に担当者には裁量権がなく、意思決定ができない…。このような問題はスピード勝負のビジネスではありえないです。

対策はそれぞれの項目に対して進めていくしかないです。大企業の良い面の文化ややり方を変える必要があるため、私自身のおすすめは新規事業の組織は、従来組織と切り分けるのがいいのではと思っています。早い意思決定と顧客重視の思考、そして評価もチャレンジでしっかり評価することで、成功に近づくのではと思います。

 

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2023-09-15 12:08:00

特許分析からの未来予測:競争力を高める商品開発の戦略

特許の分析を通じて将来の商品開発を先取りする方法について、ブログでご紹介いたします。特許は新しい技術やアイデアを保護するために申請されますが、その内容は同時に公開されます。要するに、特許を読むことで、将来どのような商品が開発される可能性があるかが見えてきます。しかし、特許は専門的な用語や図表で記載されているため、一般の方にとっては理解が難しいことがあります。したがって、特許分析のスキルを身につけることで、競合他社や市場動向に先んじて、自社の商品開発に役立てることができるのです。

具体的には、最新の特許を解読することで未来の技術動向を予測できます(下図)。

例として、Appleの顔認証技術に関する特許を見てみましょう。ただし、これは筆者の独自の見解であり、正確性には欠ける可能性があることをご理解ください。

この特許は2009年に公開され、商品化は2017年に実現しました。その間、研究開発が行われていました(下図)。携帯電話メーカーであれば、Appleの特許に依存せず、競合力を維持するための技術を開発することも考えられるでしょう。しかし、他の企業にとっては、顔認証技術がスマートフォンに組み込まれることを前提に、新しいサービスや技術の開発を検討する重要な機会と言えます。

2009年にこの特許を読んだ企業は、以下のような問いかけを行うかもしれません:

  • 顔認証技術がスマートフォンに組み込まれた場合、社会はどのように変わるか?
  • 顔認証を活用した便益のあるサービスは何か?
  • これらの要素を組み合わせて新しいプロダクトやサービスを提供できないだろうか?

このような視点から、自社の商品企画を練ることができます。そして、2017年に商品が実現する際には、他社に比べて圧倒的な競争優位性を持つことでしょう。

このように特許を読むことで、新しいビジネスのアイデアを発見することも可能です。私はコンサルティングにおいて、他社の特許を活用して新規事業のアイデアを練るお手伝いも行っております。お気軽にご相談ください。

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2023-09-05 09:03:00

MEMS技術の新規事業応用:小型化、高感度、低消費電力の鍵要素

圧電MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)は、微細な電子機械システムの一種で、圧電効果を利用して機械的な変位を電気信号に変換し、逆に電気信号を機械的な変位に変換する技術です。以下に、圧電MEMSの主な特徴と応用について説明します。

【MEMS技術の特徴】
革新的な小型化: MEMS技術は微細なサイズで製造可能で、これは新規事業において製品やシステムのコンパクト化に大いに役立ちます。小型のデバイスは、携帯性や省スペースの要件を満たし、市場での競争力を高めるのに寄与します。一概には言えませんが、小さくなればなるほど低コスト化するという半導体素子と同じような効果もあります。

高感度と高精度: MEMSデバイスは高い感度と精度を持っており、センサーとしての利用に最適です。これは、新規事業が環境モニタリング、品質管理、医療機器、自動車技術、および他の多くの分野で高品質なデータ収集と制御を必要とする場合に特に有益です。すでにスマホや自動車には採用され始めています。

低消費電力と長寿命: MEMSデバイスは低消費電力で動作し、長寿命を持つため、新規事業がエネルギー効率を重視する場合や信頼性が不可欠な場合に適しています。これは、バッテリー駆動の製品や無停止動作を要求されるアプリケーションに適しています。

【MEMS技術の新規事業への応用】

センサー技術の革新: 新規事業はMEMSセンサー技術を活用して、市場での競争力を向上させることができます。高感度のMEMSセンサーは、新しい製品やサービスの開発においてデータ収集と解析の品質を向上させ、顧客満足度を高めます。構造設計によっては新たなセンサとして使える可能性があり応用は広いと考えます。

製品のミニチュア化: MEMS技術は、製品やデバイスを小型化するのに役立ちます。これにより、新規事業はコンパクトでポータブルなソリューションを提供します。小型化は低コスト化と高付加価値化を意味し、従来のものと比較して競争力の高いデバイスになる可能性があります。

エネルギーハーベスティング: 新規事業はMEMSデバイスを使用して、外部エネルギーを収集し、エネルギーハーベスティング技術を導入できます。これは、バッテリー寿命の延長や環境に優しいソリューションの提供に役立ちます。実際のところ発電量はまだまだ小さいものの、センサや回路の商品電力が下がってきたため上手く組み合わせることでユニークな商品となる可能性があります。

MEMS技術は新規事業の成功に向けて多くの機会を提供し、競争力を高め、市場での立ち位置を強化する手段として積極的に検討すべきです。
いつでもご相談ください。

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2023-09-02 15:15:00

圧電材料とMEMS:電気を生み出す不思議な素材とその使い方

圧電材料とは、力(圧力)を加えると電圧を発生する(圧電効果)または電圧を加えると変形する(逆圧電効果)性質を持つ材料のことです。圧電効果は、物質内の正負のイオンが力によってずれることで電気分極が生じる現象です。逆圧電効果は、電気分極によって物質内に応力が発生し、物質が伸縮する現象です。圧電材料には、水晶やPZT(チタン酸ジルコン酸亜鉛)などの単結晶やセラミックス、PZTやAlN(窒化アルミニウム)などの薄膜などがあります。以下の図でイメージを示します。

この特性により、圧電材料は機械エネルギーと電気エネルギーの相互変換が可能となり、さまざまな応用が可能です。例えば、センサとしては、振動や音波、流体の流れや液面、温度や加速度などを検出することができます。アクチュエータとしては、超音波モーターやカッター、インクジェットヘッドやマイクロスピーカーなどに広く使われています。また、発振子やフィルタとしては、クロックや通信機器などに応用されています。

近年、圧電材料は小型のデバイスにさらなる応用が広がっており、特にMEMS(微小機械素子)分野でその重要性が際立っています。例えば、インクジェットヘッドでは圧電材料を用いて電圧を印加すると、液体のインクを精確に吐出することができます。MEMSマイクロフォンでは、音波によって圧電薄膜が振動し、その変位を電気信号に変換する役割を果たします。MEMS加速度センサでは、重力や加速度によって圧電薄膜が変形し、その応力を電気信号に変換します。同様に、MEMSジャイロスコープでは、回転運動によるコリオリ力を圧電薄膜で検出します。そして、MEMSプロジェクタでは、圧電薄膜を用いてミラーを駆動し、光を反射して画像を投影します。

圧電材料とMEMSは、それぞれ独立した技術分野ですが、互いに補完し合う関係にあります。圧電材料はMEMSの重要な機能素子として使用される一方で、MEMSは圧電材料の新たな応用領域として期待されています。今後も両者の技術革新が進み、より高度で多様なデバイスが実現されるでしょう。

当社では圧電材料とMEMS分野に関するアドバイスを提供しております。何かご質問やご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。

 

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2023-08-30 22:06:00

「新規事業のアイデアを考える際の3つのポイント:やりたいこと、できること、社会の役に立つこと」

新規事業のアイデアを考える際には、重要な3つのポイントが存在します。それは、「やりたいこと」、「できること」、「社会の役に立つこと」です。これらを簡単に説明します。

やりたいこと:
自分の情熱や興味、趣味の延長などを活かして、魅力を感じる商品やサービスの分野を選ぶことが大切です。自身の趣味や専門知識を活かした製品開発に取り組むことで、長期的なモチベーションを維持することが可能です。新規事業にはさまざまな困難が伴いますが、強い意志を持っていればその困難も克服できるでしょう。逆に、無理にやらされていると挫折しやすいです。

できること:
自身のスキルや経験、そして会社の強みを活かして商品やサービスを提供することが成功の鍵です。まったくの未経験分野や弱みがある場合、学習に時間がかかることもあります。ですから、まずは自分/自社の得意な分野から着想を始めることが重要です。

社会の役に立つこと:
役立つ商品やサービスは、需要が存在することを意味します。自分勝手なアイデアではなく、社会や顧客のニーズに応えることが必要です。また、社会の役に立つ商品は、潜在的な需要があれば認知されると売れ始めることもあります。他人を助けることがモチベーションとなり、商品開発にも熱意を注げることでしょう。市場の動向を見極め、トレンドを把握することが役立つ商品を考える上での重要なステップです。

新規事業を始める際には、自身の情熱やスキル、そして社会の需要を考慮することが成功への鍵となります。自分自身や自社の個性を活かしながら、独自で魅力的な商品やサービスを提供し、新しいビジネスの可能性を切り開いてみましょう。

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