日々の気づき/ブログ

2024-04-15 09:05:00

新規事業は小さく始めて大きく育てる ~3回転半ひねりのイノベーション~

新規事業を成功させるには、スタートから顧客のフィードバックを取り入れることが重要です。この過程で得られる情報は、ビジネスの方向性を根本的に変える力を持っています。まるで体操の三回転半ひねりのように、始まりのポイントと終わりのポイントが予想外に異なることが、新規事業においてはしばしばあります。

多くの場合、特に大企業では、過去の成功事例にこだわるあまり、初期の計画が完璧であるという幻想に囚われがちです。しかし、市場は常に変動しており、消費者のニーズも変わり続けています。このため、初期の計画に固執することなく、プロジェクトを進行中に適宜調整を加える柔軟性が求められます。提案者が新たな方向性を模索することを叱責するのではなく、それを支持し助言を行う文化が必要です。

顧客からのフィードバックを生かすことは、市場の変化に迅速に対応し、より良い製品やサービスを提供するための重要な鍵です。顧客と直接対話を行いその意見を事業計画に反映させることで、顧客が本当に求めるものを提供することが可能になります。これには定期的な市場調査や顧客インタビュー、プロトタイピングのテストとフィードバックの循環が含まれます。

しかし、実際には新規事業の道のりは予測が困難で計画通りに進まないことも多いです。この不確実性を受け入れそれに適応することができる企業だけが競争の激しい市場で生き残ることができます。事業計画を柔軟に見直すことは、ただの反応ではなく戦略的な選択です。失敗を恐れず、それを学びの機会と捉えて次のステップへと進む勇気が成功への道を開きます。

最終的には新規事業はその性質上、不確実性が高く、リスクを伴いますが、これを理解し受け入れることが重要です。初期の計画が完璧である必要はなくむしろ市場の実情に基づいて常に更新を続けることが成功の秘訣です。顧客との継続的な対話を通じて、柔軟に計画を更新し、適切なタイミングで適切な調整を加えることが、新規事業を成功に導く鍵となります。このような思考が根付くことで、新規事業は顧客の真のニーズに応え、市場での成功を収めることができると思います。

三回転半ひねり.jpg

 

2024-04-08 09:21:00

研究開発とランチェスターの法則

研究開発とランチェスターの法則

ランチェスターの法則は、軍事のために見いだされた法則ですが、日本では営業の方の間で流行した法則です。簡単に言うと、強者の戦略と弱者の戦略は大きく異なるということです。弱者は強者のように広域で戦えないので一点集中する方がよいということです。

ランチェスターの法則 wiki

さて、研究開発においてはどうでしょうか。

特に新規テーマや後発のテーマの場合、自分たちが弱者であることをよく認識しなければなりません。この認識が間違っていると、成功することはできません。特に、大企業では強者である分野が複数あったり、既存事業にはリソースが十分にあるので、新しい研究開発においても強者の戦略をとりがちですが、多くの場合失敗してしまいます。新規の場合はスタートは少人数、小予算ですので、新しい分野への参入はベンチャー企業と同じです。

研究開発では、自身が弱者であることをよく認識し、できるだけ特徴のある技術、差別性のある技術に絞って他社よりも少しでも先に行くことが必要です。その、少しでも差別性のある技術はなにか?というのが一番難しいのですが、徹底的に考えるしかありません。後追いのみでは到底勝てるはずもありません。

私事で恐縮ですが、約10年前に1人である技術の開発を進めました。
その時は1人だったので、ある特徴にこだわって、他の性能は無視して開発を進めました。その結果、目標とする性能を達することができました。うまくいくようになると、急に周りの助けも得られるようになり、開発がどんどん進むようになりました。
その後、世界中の企業の方が共同開発したいとやってきました。これは、1つの特徴にフォーカスして開発した結果、私1人でも課題を突破することができ、その突破をきっかけにテリトリーを広げていくという、まさにランチェスターの法則そのものです。

研究開発を進めている人はぜひとも、1つの特徴のあるところに力を集中して、成果をあげて、その後広げていってほしいと思います。決して、自身を強者と思って、他者の後追いで同じことをやってはいけません。

 

2024-03-31 21:33:00

【オンラインセミナー】成功確率を高める新規事業創出の進め方 ~小さく始めて大きく育てる「3回転半ひねり」のイノベーション~

一般社団法人企業研究会にてのセミナー実施です(オンライン)

2024年 5月 16日(木) 13:00~17:00
https://form.bri.or.jp/public/seminar/view/30417

【概要】
時代も、経営者もイノベーションを求めています。既存事業がジリ貧になる中で成功している企業は何が違うのか。そして、どうすれば成功するのかを事例から解説。
そして、多くの技術者が抱える「次に何を開発すべきか」、「最近の市場のニーズ」、「自社技術の顧客ニーズ」「保有技術のいい出口」がわからない、という悩みをいっきに解消します。一般論や概念だけでなく、イノベーションを生み出すための具体的なやり方までも公開いたします。

<習得できる知識>
 ◆知識に関する学び
  ・技術者/担当者が新規事業を創出するための考え方/ノウハウを学ぶことができる
  ・自社の技術のマッピングと目指すべき方向についての基礎知識が得られる
 ◆使えるテクニックとしての学び
  ・自身(自社)の技術を見直す方法について
  ・バックキャスティング法による新規テーマの創出方法
  ・本提案手法による技術からの新規提案方法
  ・会社も自身も活きる提案書の書き方

【目次】※内容が進行具合により変わる場合があります
0.はじめに
 0.1 自分ごとで考えよう
1.イノベーションについて
 1.1 イノベーションの不可避な必要性:なぜ重要なのか
 1.2 イノベーションの定義と事例
2.既存事業の衰退:隠された真実
 2.1 既存事業がなぜジリ貧になるのか
 2.2 経営者の悩みと取り組みを知る
3.成長企業の強みを探る
 3.1 自社を知るための技術の棚卸し 具体的なやり方
 3.2 アンゾフのマトリックスと強みと事業戦略
    (1)実例  (2)成功の共通項は何か?
4.新規テーマの発掘方法
 4.1 フォアキャストとバックキャストで考える
 4.2 時流にのることの重要性
 4.3 社会潮流を利用した未来の予想
 4.4 未来の予想をして成功した事業開発の実例
5.イノベーションに特許を利用し効率アップ
 5.1 新規事業開発に特許を利用する
 5.2 特許情報の凄さ
 5.3 新結合によるイノベーションの公式
 5.4 バリューチェーンから考えるイノベーションの公式
6.技術者からのプロジェクト提案方法
 6.1 強み技術に基づく提案
 6.2 超シンプル提案書の骨格
 6.3 技術からの提案で商品化までの最短化を目指そう

詳細は以下を参照してください
https://form.bri.or.jp/public/seminar/view/30417

2024-03-24 09:23:00

MEMS技術の新規事業応用:小型化、高感度、低消費電力の鍵要素

圧電MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)は、微細な電子機械システムの一種で、圧電効果を利用して機械的な変位を電気信号に変換し、逆に電気信号を機械的な変位に変換する技術です。今回は、圧電MEMSの主な特徴と応用について説明します。

1. MEMS技術の特徴
革新的な小型化: MEMS技術は微細なサイズで製造可能で、これは新規事業において製品やシステムのコンパクト化に大いに役立ちます。小型のデバイスは、携帯性や省スペースの要件を満たし、市場での競争力を高めるのに寄与します。一概には言えませんが、小さくなればなるほど低コスト化するという半導体素子と同じような効果もあります。


低消費電力と長寿命: MEMSデバイスは低消費電力で動作し、長寿命を持つため、新規事業がエネルギー効率を重視する場合や信頼性が不可欠な場合に適しています。これは、バッテリー駆動の製品や無停止動作を要求されるアプリケーションに適しています。

2. MEMS技術の新規事業への応用
センサー技術の革新: 新規事業はMEMSセンサー技術を活用して、市場での競争力を向上させることができます。高感度のMEMSセンサーは、新しい製品やサービスの開発においてデータ収集と解析の品質を向上させ、顧客満足度を高めます。構造設計によっては新たなセンサとして使える可能性があり応用は広いと考えます。
製品のミニチュア化: MEMS技術は、製品やデバイスを小型化するのに役立ちます。これにより、新規事業はコンパクトでポータブルなソリューションを提供します。小型化は低コスト化と高付加価値化を意味し、従来のものと比較して競争力の高いデバイスになる可能性があります。



エネルギーハーベスティング: 新規事業はMEMSデバイスを使用して、外部エネルギーを収集し、エネルギーハーベスティング技術を導入できます。これは、バッテリー寿命の延長や環境に優しいソリューションの提供に役立ちます。実際のところ発電量はまだまだ小さいものの、センサや回路の商品電力が下がってきたため上手く組み合わせることでユニークな商品となる可能性があります。

MEMS技術は新規事業の成功に向けて多くの機会を提供し、競争力を高め、市場での立ち位置を強化する手段として積極的に検討すると良いでしょう。
ご質問等がありましたらお気軽にメールいただければと思います。

2024-03-17 11:38:00

新規事業創出 :後発企業の市場参入における先発企業との競争―4つのポイント

後発企業が市場に参入する際、先発企業は必ずしも有利ではなく不利な要素も存在します。ここでは、それらのポイントを具体的にご紹介します。

革新の不足:
先発企業は成功したビジネスモデルに固執し、新たな革新やアプローチを見落とす可能性があります。後発企業が革新的なアイデアや技術を提供すれば、市場での競争力が向上し、新たな市場チャンスをつかむことができます。

市場変化への対応:
先発企業は市場をリードしていますが、市場は常に変化しています。後発企業は素早く市場変化に対応できるため、先発企業よりも柔軟な展開が可能です。特に先発企業が設備投資などをしていた場合には新たな設備投資が難しく、動きにくくなります。このような市場変化への迅速な対応が後発企業の優位性となります。

競合他社の挑戦:
変化している市場や伸びている市場には競合他社が参入しやすいです。そこに後発企業が新しい製品やビジネスモデルを提供すれば、先発企業の市場シェアを奪取できるかもしれません。競争が激化する中で、先発企業は市場ポジションを守るためにさらなる努力が必要となります。前述のように先発企業が一定の投資や改良しにくい商品を発売していた場合には対応が遅くなります。

市場拡大の制約:
先発企業は早期に市場に参入しているため、一定の市場シェアを確保しています。しかし、市場が成熟すると成長が鈍化する傾向があります。一方、後発企業は成熟市場に参入するタイミングで新たな成長領域を見つけることができるでしょう。

以上のように、先発企業がすべての面で有利とは限りません。後発企業は先発の不利な点を突破し、市場参入を成功させるために、革新と柔軟性を重視していくことが重要です。


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