日々の気づき/ブログ
研究者が社内を説得するには、社外(顧客候補)を使う
研究者が社内を説得するには、社外(顧客候補)を使う
大企業の新規事業では、社内だけで議論していると前に進まないことがあります。
「本当に売れるのか?」
「リスクはないのか?」
「前例はあるのか?」
「誰が責任を取るのか?」
こうした問いが重なり、石橋を叩きすぎて、結局渡らない。これはよくある話です。
では、どうすればよいのか。
私は、研究者が社内を説得するには、社外を使うべきだと思います。顧客、共同開発先、大学の先生、社外有識者、実証先、販売パートナー。こうした外部の存在があると、社内の見え方が変わります。社内で「この技術は有望です」と言うだけでは弱い。
しかし、顧客が「試してみたい」と言う。
共同開発先が「一緒にやりたい」と言う。
社外有識者が「この方向は面白い」と言う。
そうなると、社内は動きやすくなります。
ただし、ここで勘違いしてはいけません。社外を使うといっても、単に有名な先生や大企業の名前を借りればよいわけではありません。外部の人が乗りたくなるだけのモノが必要です。話を聞いた人が「それなら試す価値がある」と思えるストーリー、事実が必要です。
研究者がやるべきことは、技術を説明することだけではありません。技術を、顧客課題や市場機会につなげるストーリーに変えることです。社内を動かすには、社外の信用を使う。
しかし、社外を動かすには、相手が乗りたくなるモノとストーリーが必要です。新規事業で問われるのは、技術力だけではありません。
社外を巻き込み、社内を動かす構想力です。
私は技術系企業向けに、新規事業テーマの整理、顧客候補の探索、仮説検証、社内説明ストーリーづくりを支援しています。
技術はあるが社内が動かない。
顧客や共同開発先をどう巻き込めばよいかわからない。
そのような場合は、ご相談ください!
大企業の研究開発は、なぜ失敗しそうでも途中で止められないのか?
大企業では、役員や研究所長、事業部長が主導する大きな研究開発プロジェクトや新規事業プロジェクトが立ち上がることがあります。
多くの予算、人員、時間を投入する重要プロジェクトです。しかし、途中で市場環境が変わったり、技術の前提が変わったりしても、簡単には止められないことがあります。
そのような事例を見てきた方は多いと思います。
なぜでしょうか。
私は、この現象は慣性の法則に近いと思っています。
大きな物体は、一度動き始めると簡単には止まりません。同じように、大企業の研究開発も、関係者が増え、予算がつき、経営層の案件になるほど、プロジェクト自体が大きな「慣性」を持ちます。
現場から、
・市場が変わっている
・顧客ニーズが変わっている
?技術の前提が変わっている
という声が出ても、すぐには方向転換できません。
「ここまで投資したのだから」「役員案件だから」という理由で、そのまま進み続けてしまうこともあります。
しかし、市場も技術も待ってくれません。
だから今の時代に必要なのは、最初から重厚長大なプロジェクトを組むことではなく、小さく始め、市場を見ながら素早くPDCAを回し、必要なら方向転換する進め方です。変化を認めることも、研究開発マネジメントの重要な仕事だと思います。
おわりに
研究開発の成功は、技術力だけでは決まりません。
市場の変化を読み、技術の前提を見直し、必要に応じて方向転換できることが重要だと考えます。
研究開発テーマの見直し、新規事業の方向性整理、技術シーズからの市場探索でお困りでしたら、ご相談ください。
技術と市場の両面から、事業化につながる研究開発テーマを一緒に整理いたします。
半導体ブームにメーカーはどう乗るか 自社技術を成長市場につなげる新規事業開発
半導体市場が活況です。
生成AI、データセンター、メモリ、先端パッケージ、電源、冷却、材料、製造装置。ニュースを見ていると、半導体関連なら何でも伸びそうに見えます。
しかし、実際には、半導体ブームにうまく乗って伸びているメーカーもあれば、なかなか参入できていないメーカーもあります。
かなり二極化しているように感じます。
新規事業開発の基本は、伸びる市場に入ることです。その意味で、半導体市場は今、魅力的な分野です。
ただし、「うちの技術は半導体に使えるはずだ」だけでは不十分です。
大事なのは、自社の強みをしっかりと分析することです。
素材であれば、耐熱性、絶縁性、熱伝導性、密着性、加工性。
部品であれば、精度、耐久性、小型化、信頼性。
プロセスであれば、低温化、高速化、大面積化、歩留まり改善。
その強みが、半導体のどの工程、どの部材、どの顧客課題に刺さるのか。
ここを考える必要があります。それなりに市場調査も必要になります。
さらに見るべきなのは、『今』だけではありません。数年後にどこで困りごとが大きくなるのか。
どの工程がボトルネックになるのか。どんな材料・部品・装置・プロセスが必要になるのか。
未来から逆算する、『バックキャスト』の視点が重要です。
半導体ブームに乗れる会社と乗れない会社の差は、技術の有無だけではありません。
自社の強みを理解し、成長市場の課題を調べ、顧客課題との接点を仮説として作れるか。そして、顧客と対話しながら検証できるか。
ここに差が出るのだと思います。
半導体市場はメーカーにとって大きなチャンスです。ただし、待っているだけではチャンスは来ません。
自社の強みを整理し、半導体市場の課題を洞察し、仮説を立てて動く。この姿勢が必要です。
コンサルティングでは、技術を持つメーカー向けに、半導体分野での用途探索、顧客候補の整理、仮説検証を支援しています。
自社技術を半導体市場にどう接続するかでお困りの場合は、ご相談ください。
新規事業開発のルールが変わった ~技術主導から「顧客洞察・仮説検証」へ~
新規事業開発のルールが変わった
~技術主導から「顧客洞察・仮説検証」へ~
「良い技術があるのに、事業にならない」
「どの市場を狙えばよいのかわからない」
技術系の新規事業では、こうした悩みがよくあります。
昔の新規事業は、比較的シンプルでした。自社に強い技術があり、それを製品化し、大量生産して、営業が市場へ売りに行く。
成長市場では、「良いものを作れば売れる」可能性が今より高かったのだと思います。
しかし、今は違います。
技術が優れていることと、顧客がお金を払うことは別です。「この技術はすごい」「性能は負けていない」と考えても、顧客課題につながらなければ事業にはなりません。
これからの新規事業で重要なのは、次の流れです。
① 自社の強み分析 → ② 顧客洞察 → ③ 仮説構築 → ④ 顧客対話
まず自社の強みを整理する。次に、顧客が本当に困っていることを洞察する。そこから仮説を立て、顧客との対話で検証する。
反応が悪ければ、用途を変える。顧客を変える。組む相手やビジネスモデルを変える。さらには作るモノの方向性を変える。
新規事業は、最初から正解を当てる活動ではありません。検証を繰り返しながら、勝てる形・売れる形に近づけていく活動です。技術がある会社ほど、チャンスはあります。ただし、技術をそのまま売るのではなく、顧客課題にどう接続するかが重要です。
コンサルティングでは、技術系企業向けに、用途探索、顧客候補の整理、仮説検証の進め方まで、新規事業開発を支援しています!
AI時代、扇風機がMEMSチップになった!
AIの進化で、CPU、GPU、SSDなどの発熱が大きな課題になっています。発熱が増えると、機器は自分を守るために性能を落とします。いわゆる熱による性能制限です。これまでは、ファン、ヒートシンク、ヒートパイプ、ベイパーチャンバーなどで熱を外部に逃がしてきました。しかし、薄型PC、スマートフォン、XRグラス、エッジAI機器では、さらなる「薄い・静か・小さい」冷却が求められます。
そこで注目されているのが、MEMSを使って空気を動かす技術です。
AirJet Mini G2は、7.5Wの熱を除去し、21dBAの静音性をうたっています。添付資料でも、AirJetはMEMS超音波アクチュエータを使った熱対策技術として説明されています。
またxMEMS社も、µCoolingという「fan-on-a-chip」を発表しています。
1mm厚のソリッドステート冷却チップで、エッジAI機器や低消費電力のデータセンター部品向けと説明されています。
xMEMS |マイクロ冷却 |エッジAIデバイスおよびAIデータセンター
面白いのは、これらは単にモーターで羽根を回すのではなく、圧電MEMSの微細な振動で空気を動かし、熱源の近くに局所的な風を送ります。
イメージとしては扇風機というより団扇が近いと思います。MEMSの中の人が団扇でパタパタしている感じです。
MEMSはこれまで、加速度センサー、ジャイロ、マイク、インクジェットヘッドなとして広がってきました。今度は「熱を逃がすために動く部品」として、期待されています。
AIの性能競争は、半導体だけでなく、熱設計の競争でもあります。熱のマネジメントをどうするかというのは頭の痛い問題です。このデバイスはその解決の一つの方法だと思います。そしてMEMS、圧電薄膜、微細加工を持つ企業にとって、冷却は新しい出口になるかもしれません。
新しいデバイスが出てくる予感がします!


