日々の気づき/ブログ

2024-03-24 09:23:00

MEMS技術の新規事業応用:小型化、高感度、低消費電力の鍵要素

圧電MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)は、微細な電子機械システムの一種で、圧電効果を利用して機械的な変位を電気信号に変換し、逆に電気信号を機械的な変位に変換する技術です。今回は、圧電MEMSの主な特徴と応用について説明します。

1. MEMS技術の特徴
革新的な小型化: MEMS技術は微細なサイズで製造可能で、これは新規事業において製品やシステムのコンパクト化に大いに役立ちます。小型のデバイスは、携帯性や省スペースの要件を満たし、市場での競争力を高めるのに寄与します。一概には言えませんが、小さくなればなるほど低コスト化するという半導体素子と同じような効果もあります。


低消費電力と長寿命: MEMSデバイスは低消費電力で動作し、長寿命を持つため、新規事業がエネルギー効率を重視する場合や信頼性が不可欠な場合に適しています。これは、バッテリー駆動の製品や無停止動作を要求されるアプリケーションに適しています。

2. MEMS技術の新規事業への応用
センサー技術の革新: 新規事業はMEMSセンサー技術を活用して、市場での競争力を向上させることができます。高感度のMEMSセンサーは、新しい製品やサービスの開発においてデータ収集と解析の品質を向上させ、顧客満足度を高めます。構造設計によっては新たなセンサとして使える可能性があり応用は広いと考えます。
製品のミニチュア化: MEMS技術は、製品やデバイスを小型化するのに役立ちます。これにより、新規事業はコンパクトでポータブルなソリューションを提供します。小型化は低コスト化と高付加価値化を意味し、従来のものと比較して競争力の高いデバイスになる可能性があります。



エネルギーハーベスティング: 新規事業はMEMSデバイスを使用して、外部エネルギーを収集し、エネルギーハーベスティング技術を導入できます。これは、バッテリー寿命の延長や環境に優しいソリューションの提供に役立ちます。実際のところ発電量はまだまだ小さいものの、センサや回路の商品電力が下がってきたため上手く組み合わせることでユニークな商品となる可能性があります。

MEMS技術は新規事業の成功に向けて多くの機会を提供し、競争力を高め、市場での立ち位置を強化する手段として積極的に検討すると良いでしょう。
ご質問等がありましたらお気軽にメールいただければと思います。

2024-03-17 11:38:00

新規事業創出 :後発企業の市場参入における先発企業との競争―4つのポイント

後発企業が市場に参入する際、先発企業は必ずしも有利ではなく不利な要素も存在します。ここでは、それらのポイントを具体的にご紹介します。

革新の不足:
先発企業は成功したビジネスモデルに固執し、新たな革新やアプローチを見落とす可能性があります。後発企業が革新的なアイデアや技術を提供すれば、市場での競争力が向上し、新たな市場チャンスをつかむことができます。

市場変化への対応:
先発企業は市場をリードしていますが、市場は常に変化しています。後発企業は素早く市場変化に対応できるため、先発企業よりも柔軟な展開が可能です。特に先発企業が設備投資などをしていた場合には新たな設備投資が難しく、動きにくくなります。このような市場変化への迅速な対応が後発企業の優位性となります。

競合他社の挑戦:
変化している市場や伸びている市場には競合他社が参入しやすいです。そこに後発企業が新しい製品やビジネスモデルを提供すれば、先発企業の市場シェアを奪取できるかもしれません。競争が激化する中で、先発企業は市場ポジションを守るためにさらなる努力が必要となります。前述のように先発企業が一定の投資や改良しにくい商品を発売していた場合には対応が遅くなります。

市場拡大の制約:
先発企業は早期に市場に参入しているため、一定の市場シェアを確保しています。しかし、市場が成熟すると成長が鈍化する傾向があります。一方、後発企業は成熟市場に参入するタイミングで新たな成長領域を見つけることができるでしょう。

以上のように、先発企業がすべての面で有利とは限りません。後発企業は先発の不利な点を突破し、市場参入を成功させるために、革新と柔軟性を重視していくことが重要です。


2024-03-08 11:18:00

小さく始めて大きく育てる!成功確率を高める新規事業開発の進め方

経営者の考える失敗しない新規事業

経営者は、できるだけ短期間に、少ない投資で、大きな利益を得るような新規テーマを期待しています。
実際の所、そのようなテーマはなかなかありません。未来や市場の予測が完全ではないこと、誰もがやっていない技術開発は予測不能な項目も含まれ必ず成功するとは限りません。そのため、経営者が期待しているように一発で成功するような新規事業開発はなかなか難しいのです。
これまでの自身の経験や、たくさんの新規事業開発を見てきた感じでは、小さくスタートさせて、失敗しながらも修正し、その失敗から知見を得ながら成功へ進む場合が多いと思います。すなわち、成功 or 失敗 のゼロイチではなく、失敗から学び、その失敗の延長線上に成功があるようなイメージです。これを図にすると次のようなイメージとなります。

新規事業を企画する部門は経営者から厳しいプレッシャーを受けて、必ず成功しかつ大きな新規事業を企画しようとしています。しかし、そうではなく小さくスタートさせて、修正しながら(ときには失敗しながら)、育てていくような新規事業の方が成功の確率が高いと思います。
経営者を上手く説得して小さく早く進めるような企画を立案することをおすすめします。経営者にそのような進め方の理解がなく、困っているという相談もたまにあります。そのような時は、うまく事例を説明して説得することがいいかなと思います。外部のコンサルを上手く利用して説得していくのも一つの手だと思いますが、いかがでしょうか。


私のコンサルティングで伴走支援します
貴社の新規事業開発を成功に導くために、以下のコンサルティングサービスを提供します。

1)小さく早く始めるための支援
一緒に市場調査、顧客インタビュー、競合分析などを行い、新規事業の可能性を検証します。
2)失敗を恐れないための支援
定期的な進捗確認、課題解決のためのアドバイスなど、事業運営をサポートします。
失敗から学び、改善を繰り返せるよう支援します。
事業推進に必要な精神的な支援も行います。
経営理論やノウハウを提供し、事業の成長を加速させます。
定期的なミーティングや研修など、継続的な学習機会を提供します。
3) 経営者を説得するための支援
事業計画書の作成、プレゼンテーションの指導など、経営者を説得するための資料作成を支援します。
経営者とのコミュニケーションを円滑にするためのアドバイスを行います。
必要に応じて、外部の専門家を紹介することも可能です。

無料相談
新規事業開発についてお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

2024-03-03 20:05:00

製造業のための新規事業創出ガイド:自社の強みと市場トレンドを活かす戦略

1. 新規事業を考える視点:自社の強み

製造業で新規事業を考える際には、まず自社の強みからスタートすることが重要です。簡単に言うと、

「自社の強み × 社会潮流 = 新規事業のテーマ」

という流れで考えることが推奨されます。このアプローチを採用し、市場に適合すると、有力な新規事業テーマが見つかります。しかし、その先に進むためには、さらに重要な視点が2つあります。これらの視点を十分に検討することで、失敗のリスクを低減できます。
それは、製造プロセスとバリューチェーンの視点です。たとえ優れた技術があっても、それを用いて実際に製品を作り出せなければ、商品化は実現しません。製造適性や、後工程での利用方法まで考慮しなければ、製品は役に立たなくなります。また、技術のコストが高い場合は、その価値を超えるメリットがあるかどうかを検討する必要があります。逆に、顧客(後工程)が求める製品であれば、喜んで使用してもらえます。私の経験上、顧客が特定の素材を強く望んでいる場合、仕様変更を申し出ることもありました。
一方で、新しいアイデアを考えている際に、「まだ作ったことがない」「経験がない」「売ったことがない」といった懸念が、工場や営業部門から出てくることがあります。このような懸念が強いと、プロジェクトは頓挫しかねません。従って、しっかりとマネジメントし、状況をコントロールする必要があります。場合によっては、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)などを利用して、新規事業を外部で進めることも一つの選択肢です。

結論として、新規事業を考える際には、最終工程までのイメージをしっかりと持つことが重要です。テーマを決定する際には、抜け漏れがないようにチェックシートを用意するなどの準備をすると良いでしょう。最近では、ゲートシステムを使用してチェックを行う企業が増えています。

2. 新規事業を考える視点:時間軸

新規事業を考える上で欠かせない視点は「時間」です。研究や開発を始めてからビジネスが形になるまで、早くても1年はかかるでしょう。通常の研究では、5年程度を見込むことが一般的です。未来は予測できない部分もありますが、科学技術やビジネス分野では、ある程度の予想が可能です。この予想を踏まえ、将来どのような社会になるかを考慮し、今から開発を始めるべきだというのが基本的な考え方です。
現在の問題に迅速に対応することも重要ですが、それだけに集中すると、現場は疲弊し、反応型の仕事だけでは進歩が見込めません。数年後の社会を見据え、その時代に適したビジネスを提供することが求められます。このためには、時間を意識的に考慮することが不可欠です。
5年後の未来は、既に予測されていることがあるかもしれませんし、変化の兆しを捉えることもできるでしょう。これらを上手く活用して新規事業のアイデアを得ることが重要です。そこに自社の強みを組み合わせることで、成功する新規事業が生まれます。

私が実施する新規事業創出セミナーや研修では、目指す業界の未来をどう予測するか、実例を交えて解説しています。自社の事業分野がどのような未来を迎えるのか、考察してみましょう。

3. 新規事業創出の具体例

書店では、MBAや新規事業創出に関連する多数の書籍がありますが、概念に偏りがちで、具体的な事例が不足していると感じます。私のように、若い頃から研究開発(R&D)から新規事業の創出に携わってきた人は少ないかもしれません。また、諸先輩方から直接聞いた成功事例から得た経験も、非常に価値があります。

以下は、講演や研修で紹介している事例のいくつかです。

- 富士フイルムにおける銀塩写真から化粧品への転換思考
- 銀塩写真の危機に際しての現場の対応と新規事業創出への取り組み
- セラミックス研究者が強みを活かして食品事業に展開した例
- バックキャストを用いた新規事業創出の具体的方法
- 知的財産検索を通じて新規事業を発見する例
- バリューチェーンを考慮した顧客ニーズに基づく事例
- 強みを生かした新規事業展開を行う企業の思考法

これらの事例と普遍的な成功へのアプローチを組み合わせ、理解しやすいように話を進めています。機会があれば、一緒に新しい事業を創出しましょう!

 

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2024-02-26 23:16:00

イノベーションのジレンマ、なぜ既存事業は衰退するのか?

1. なぜ既存事業が衰退していくのか?

既存事業に力を入れて頑張っています。利益を上げるために、シェアを拡大するために日々努力している方がほとんどだと思います。しかし、気づいたら競争が激しくなり、シェアが減少しています。さらには全く新しいビジネスに取って代わられています。そんなことはないでしょうか?

よく例に挙げられますが、2000年頃から始まったコンパクトデジカメの開発競争が分かりやすい実例です。
当時は数十万画素のカメラが一般的でした。研究者や開発者は、100万画素目標、200万画素目標と、年々画質を向上させながら、機能を改善し、コストを削減し続けていました。市場での競争は激化し、疲弊が始まった頃にスマートフォンが登場しました。スマートフォンの登場によって、コンパクトデジカメはほぼ売れなくなり、撤退する企業も増えました。また、銀塩写真からデジカメへの移行は大きなイノベーションでした。

「イノベーションのジレンマ」とも呼ばれるこの現象は、次のような流れです。

真面目に開発する。
一時的には利益を上げる。
競争が激化する。
より一層努力する。
別の技術が出現する。
衰退する。

上記の現象は、国内の多くの既存事業にも当てはまるのではないでしょうか?
自社が取り扱っている商品に安心感を持っていても、予期せぬ方向から新しい商品が登場する可能性もあります。この傾向はデジタル化の影響で加速しています。対策としては、常に新規事業を生み出す努力を続ける必要があると思います。

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2. 新規事業のテーマは時流に乗せる、時流に乗せることの重要性

新規事業のコンサルティングでは、よく「どのような市場に参入すべきか?」という質問を受けます。
正しい答えは存在しませんが、時流に乗せることが重要だと答えています。つまり、将来的に成長が見込まれる市場に参入することで、市場の成長に合わせて自社も成長することが期待できます。さらに努力を重ねることで、市場の成長を上回る成長も可能です(エレベーターを駆け上がる)。
また、成長している市場は競争がまだ激しくない場合が多く、参入後の市場獲得の可能性が高まります。新たな市場に参入することで、既存のプレーヤーよりも優位な位置を築き、顧客を獲得しやすくなります。競争が少ない段階で市場に参入することで、ブランドの確立や顧客ロイヤルティの構築にも有利です。
一方で、縮小している市場(下りのエスカレーター)に参入すると、努力しても利益を確保することが難しくなります。市場縮小の要因を逆転させることは困難であり、持続的な成長を見込むことも難しいです。
新規事業は、できる限り時流に乗り、将来的に成長が見込まれる市場を探すことが重要です。そのためには、常に市場の変化を見極める必要があります。市場調査やトレンド分析などの手法を活用し、成長が期待される市場を見つけ出すことが求められます。そして、自社の技術やリソースを活かし、その市場において独自性や付加価値を提供することが成功の鍵となります。

上りのエスカレータ.jpg

 

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