日々の気づき/ブログ
デジタル化と信頼の価値の変化
先日のブログで、ものづくりにおけるデジタル化の影響について話をしました。
今回の話は、それをさらに掘り下げた内容です。
あるSNS投稿で、「商社から低コストばかりを求められ、事業が成り立たない!」という声を見かけました。この背景にも、やはりデジタル化の影響があると感じます。
かつては、顔なじみの業者や商社との“長年の付き合い”や“信頼関係”をベースに取引が行われていました。多少コストが高くても、「あの会社なら大丈夫」という信用で選ばれていたわけです。しかし、デジタル化によって状況は大きく変わりました。
世界中の企業とワンクリックで比較される仕様が明確になりました簡単なものはどこでも作れるオーバースペックな品質は仕様に現れず、差別化にならない信頼や信用も、納期と仕様を満たしていれば、価格競争に吸収されてしまうこうして、“目に見えない価値”が通じにくい時代になっています。結果、製品は仕様通りに動けば十分とされ、コストがすべての判断基準になりやすくなりました。仮にすぐに壊れたとしても、「設計の問題」と片づけられるかもしれません。
では、どうするか?
既存製品を作り続けるなら、海外メーカーに勝てるような超低コスト化を目指すしかありません。ですが、それも限界があります。だからこそ、「コストではない何か」で勝負しなければならない時代です。
私は、「意味のあるもの」「価値の本質」に立ち返る必要があると思います。価格では測れない新しい価値、新しいニーズを見つけ出し、それを形にしていく。それが、これからのものづくりに求められている姿ではないでしょうか。
社会は変化しています。競争も厳しくなっています。ですが、だからこそ今、新しいものを生み出すチャンスもまた広がっています。
一緒に、新しい“意味あるものづくり”を考えてみませんか?
地方活性化と陸上養殖
三陸地方のある地域で、陸上養殖プロジェクトをスタートさせることになりました。
私はこの取り組みの最初の仕掛け人として、現在はボランティアで関わっていますが、上手く関連メンバーと地方がハマりました。
地元でふぐやその他の魚種を陸上養殖し、ふるさと納税の対象にしたり、地域の特産品を活用した飼料でブランド化を目指します。
さらに、温泉との連携や、道の駅などでふぐ料理を提供することで、町全体の賑わいにつながることを期待しています。
流通についても、関西から関東までの広域展開に加え、必要に応じてホームページなどを活用し、輸出にもチャレンジしていく予定です。
成功するかどうかは未知数ですが、地方自治体の首長さんも賛同してくださっており、地元企業との連携も進みそうな手応えを感じています。
これは本業とは異なる取り組みですが、人と人をつなぐことで日本全体が元気になればうれしく思います。
新規事業創出が本業なので本業と言えば本業ですが、さて、半導体デバイスの開発という真の本業も頑張らねば……
新規事業の進め方 技術の棚卸し・市場開拓・評価方法
最近、化学メーカー、素材メーカー、電機メーカー などの企業様から、新規事業に関するご相談をいただくことが増えています。特に、以下のような悩みを抱えている企業が多いです。
よくある新規事業の悩み
① 既存事業が衰退する中で、どう強みを活かして新規事業を進めるべきか?
② 技術の棚卸しはどうやるのか?
③ 新規事業のネタ・マーケティングはどうやるのか?
④ テーマの良し悪しはどこで誰が判断するのか?
⑤ 将来性の見極め・用途の見極めの助言・指導
大手コンサルと異なる支援の形:「伴走型」の支援
一般的なコンサルティング会社では、
・方向性の提示
・市場データの提供
・ケーススタディの紹介
などが中心ですが、それだけでは新規事業は進みません。
私は 「伴走支援」 の形をとり、
・アイデア出しのやり方、実践
・事業化の仮説検証の進め方の指導
・参加メンバーの教育(新規事業の考え方、判断基準、マーケティングの基本など)
・実際の顧客ヒアリングの支援
・新規事業の評価フレームワーク導入
など、実際に手を動かしながら、企業の内側から新規事業を生み出せる力を育てる ことを重視しています。
商品化もいくつかあり、嬉しい限りです!
知財(特許)をマーケティング/新規事業創出に利用する その5 新規事業を生み出す特許検索
新規事業を生み出す特許検索
新規事業を生み出すためのイノベーションの公式
イノベーションとは新結合です。新結合は、何かと何かを結合させることです。特許検索で次の項目を結合させることで、新規事業のネタが生まれます。
イノベーション ≒ 新結合
(内部環境)✕(外部環境)= 新規事業ネタ
内部環境とは自社の強みや保有技術です。外部環境とは社会潮流やこれから伸びる市場のことです。
結合させるべき第一のキーワードは「強み技術や保有技術」です。次に、バックキャスティングで未来に必要なモノを考えること、時流に乗り市場が伸びる業界やテーマの「市場や商品」です。そしてそれらを特許検索にて掛け合わせます。
そうすると、保有技術を使った商品の特許が出てきます。
以前述べたように、特許は国内だけで年間30万件、過去のものを含めると1000万件以上のデータベースになっています。その中には、保有技術を使った商品の他社特許があるはずです。出てきた特許を読み込み、自社技術を使った際に特徴があるか、メリットが出るかなどを考えて新規事業のテーマになるかどうかを判断します。
具体的なステップ
1.特許から自社のコア技術を抽出し、キーワードとする
2.ターゲットとする分野/領域を抽出(バックキャスティング法も参考にしてください)
3.キーワードを掛け合わせて、特許の検索と読み込み
4.新規事業テーマの選定とシナリオ作成
次回に事例を上げてみます。
知財(特許)をマーケティング/新規事業創出に利用する その4 未来を予測して競争力を高める
今回は、特許分析を通じて将来の商品開発を先取りする方法について解説します。
1. 特許に着目する理由とは
2. 事例:Appleの顔認証技術
1. 特許に着目する理由とは
特許は新しい技術やアイデアを保護するために申請されますが、その内容は同時に公開されます。要するに、特許を読むことで、将来どのような商品が開発される可能性があるかが見えてきます。しかし、特許は専門的な用語や図表で記載されているため、一般の方にとっては理解が難しいことがあります。したがって、特許分析のスキルを身につけることで、競合他社や市場動向に先んじて、自社の商品開発に役立てることができるのです。具体的には、最新の特許を解読することで未来の技術動向を予測できます。
2. 事例:Appleの顔認証技術
事例として、Appleの顔認証技術に関する特許を見てみましょう。これは筆者の独自の見解であることをご理解ください。
この特許は2009年に公開され、商品化は2017年に実現しました。その間、研究開発が行われていました(下図)。携帯電話メーカーであれば、Appleの特許に依存せず、競合力を維持するための技術を開発することも考えられるでしょう。しかし、他の企業にとっては、顔認証技術がスマートフォンに組み込まれることを前提に、新しいサービスや技術の開発を検討する重要な機会と言えます。
この特許を読んだ企業は、以下のような問いかけを行うかもしれません。
顔認証技術がスマートフォンに組み込まれた場合、社会はどのように変わるか?
顔認証を活用した便益のあるサービスは何か?
これらの要素を組み合わせて新しいプロダクトやサービスを提供できないだろうか?
このような視点から、自社の商品企画を練ることができます。そして、商品が市場に導入される際には、他社に比べて圧倒的な競争優位性を持つことでしょう。このように特許を読むことで、新しいビジネスのアイデアを発見することが可能です。未来を予測するというのはワクワクしますよ!