日々の気づき/ブログ
半導体ブームにメーカーはどう乗るか 自社技術を成長市場につなげる新規事業開発
半導体市場が活況です。
生成AI、データセンター、メモリ、先端パッケージ、電源、冷却、材料、製造装置。ニュースを見ていると、半導体関連なら何でも伸びそうに見えます。
しかし、実際には、半導体ブームにうまく乗って伸びているメーカーもあれば、なかなか参入できていないメーカーもあります。
かなり二極化しているように感じます。
新規事業開発の基本は、伸びる市場に入ることです。その意味で、半導体市場は今、魅力的な分野です。
ただし、「うちの技術は半導体に使えるはずだ」だけでは不十分です。
大事なのは、自社の強みをしっかりと分析することです。
素材であれば、耐熱性、絶縁性、熱伝導性、密着性、加工性。
部品であれば、精度、耐久性、小型化、信頼性。
プロセスであれば、低温化、高速化、大面積化、歩留まり改善。
その強みが、半導体のどの工程、どの部材、どの顧客課題に刺さるのか。
ここを考える必要があります。それなりに市場調査も必要になります。
さらに見るべきなのは、『今』だけではありません。数年後にどこで困りごとが大きくなるのか。
どの工程がボトルネックになるのか。どんな材料・部品・装置・プロセスが必要になるのか。
未来から逆算する、『バックキャスト』の視点が重要です。
半導体ブームに乗れる会社と乗れない会社の差は、技術の有無だけではありません。
自社の強みを理解し、成長市場の課題を調べ、顧客課題との接点を仮説として作れるか。そして、顧客と対話しながら検証できるか。
ここに差が出るのだと思います。
半導体市場はメーカーにとって大きなチャンスです。ただし、待っているだけではチャンスは来ません。
自社の強みを整理し、半導体市場の課題を洞察し、仮説を立てて動く。この姿勢が必要です。
コンサルティングでは、技術を持つメーカー向けに、半導体分野での用途探索、顧客候補の整理、仮説検証を支援しています。
自社技術を半導体市場にどう接続するかでお困りの場合は、ご相談ください。
新規事業開発のルールが変わった ~技術主導から「顧客洞察・仮説検証」へ~
新規事業開発のルールが変わった
~技術主導から「顧客洞察・仮説検証」へ~
「良い技術があるのに、事業にならない」
「どの市場を狙えばよいのかわからない」
技術系の新規事業では、こうした悩みがよくあります。
昔の新規事業は、比較的シンプルでした。自社に強い技術があり、それを製品化し、大量生産して、営業が市場へ売りに行く。
成長市場では、「良いものを作れば売れる」可能性が今より高かったのだと思います。
しかし、今は違います。
技術が優れていることと、顧客がお金を払うことは別です。「この技術はすごい」「性能は負けていない」と考えても、顧客課題につながらなければ事業にはなりません。
これからの新規事業で重要なのは、次の流れです。
① 自社の強み分析 → ② 顧客洞察 → ③ 仮説構築 → ④ 顧客対話
まず自社の強みを整理する。次に、顧客が本当に困っていることを洞察する。そこから仮説を立て、顧客との対話で検証する。
反応が悪ければ、用途を変える。顧客を変える。組む相手やビジネスモデルを変える。さらには作るモノの方向性を変える。
新規事業は、最初から正解を当てる活動ではありません。検証を繰り返しながら、勝てる形・売れる形に近づけていく活動です。技術がある会社ほど、チャンスはあります。ただし、技術をそのまま売るのではなく、顧客課題にどう接続するかが重要です。
コンサルティングでは、技術系企業向けに、用途探索、顧客候補の整理、仮説検証の進め方まで、新規事業開発を支援しています!
AIに頼りすぎるな ~最後に魂を入れるのは人間~
AIに頼りすぎるな ~最後に魂を入れるのは人間~
新規事業創出でも、AIを使う場面はかなり増えています。
市場を調べる。
既存特許を分析する。
競合を整理する。
用途を広げて考える。
技術と市場の接点を探す。
こうした作業では、AIはとても便利です。
特に、自分たちがまだ知らない市場情報を調べるときには有効です。
昔であれば、展示会に行き、人に会い、資料を集め、かなりの時間を使って足で稼いでいた情報も、今は多くの企業がネット上に公開しています。
そのため、ネット上にある範囲であれば、AIがある程度拾ってきてくれます。
新規事業の最初の仮説づくりとして、AIを使うのはありだと思います。
ただし、AIに頼ってはいけない部分もあります。
自社技術の本当の強み。
自社しか知らない実験結果。
現場で感じた違和感。
失敗から得た知見。
顧客との会話で見えた本音。
こうしたものは、AIには出てきませんし、これを外すといい提案にはなりません。
AIは、なんとなくきれいな文章や、なんとなくかっこいい図を作ってくれます。
しかし、よく読むと中身と合っていないことがあります。
一見それらしく見えても、実際には使える案になっていないこともあります。
要するに、魂が入っていないのです!
新規事業支援の現場でも、きれいな絵や文章を作ってくる人にその中身を聞くと、ちゃんと答えられないことがあります。
これは、AIで形を整えただけで、自分たちの経験や考えが十分に入っていないからだと思います。
調査や整理はAIに任せてもいい。
でも、問いを立てること、判断すること、魂を入れることは、人間がやるべきです。
AIを使う時代だからこそ、最後は自分たちの経験で勝負することが大事だと思います。
AIを使いこなしながら、一緒に新規事業を生み出しましょう!
いつでもご連絡ください。
黒字リストラの時代に、技術者と会社はどう生き残るか ~技術を新しい市場に展開する力が問われている~
最近、「黒字リストラ」という言葉を目にする機会が増えました。
赤字だから人を減らすのではなく、黒字であっても、将来の事業構造の変化を見越して人員を見直す。そんな動きが、大手企業でも広がっていますね。
製造業でも、希望退職や人員削減のニュースが相次いでいます。
・ジャパンディスプレイ:1,500人規模
・パナソニック:国内外で大規模削減
・日産:追加削減を含む大規模な再建策
・オリンパス:国内外で2,000人規模
・三菱電機:4,700人規模
・ブリヂストン:数百人規模
・マツダ:500人規模
もちろん、各社の事情は異なります。しかし共通しているのは、「大企業にいれば安心」「今の事業が続けば安心」とは言えなくなっています。
例えば製造業においては材料、部品、装置、プロセス、品質、評価、生産技術、どれもにとって重要な技術です。しかし、その技術が属している市場そのものが縮小すれば、専門性の価値も下がってしまい、リストラをせざるを得ない状況になります。
これは、技術力が低いからではありません。技術と市場の組み合わせが、時代と合わなくなっているということです。中の人の努力ではどうしょうもないことなのです。
この考え方については、以前の記事でも書きました。
技術・キャリアの「賞味期限」をどう延ばすか https://fujii-tech.com/diary/226911
これからの技術者に必要なのは、専門を深めることだけではありません。自分の技術を、どの市場でどのように活かすかを考える力です。
たとえば、同じ材料技術でも、既存市場では縮小していても、半導体、エネルギー、医療、ロボット、環境、宇宙、インフラ更新などの分野では、新しい価値を持つ可能性があります。つまり、技術者が生き残るためには、「自分は何ができるか」だけでなく、「それを誰が必要としているか」まで考える必要があるということです。
これは個人だけの問題ではありません。会社はとしては社内技術を次の事業に変える必要があるということです。企業の中にも、まだ使える技術、設備、特許、人材、過去の研究開発テーマが数多く眠っています。にもかかわらず、それらが既存事業の中だけで評価され、十分に活用されないままになっていることがあります。
黒字リストラの時代に本当に必要なのは、人を減らすことだけではなく、社内にある技術を、次の事業に結びつけることだと思います。
・技術を棚卸しし、要素技術や機能に分解する。
・それを伸びる市場や顧客課題と掛け合わせる。
・そこから、新しい用途や事業仮説を作る。
このプロセスによって、既存事業では活かしきれなかった技術が、新規事業の種になる可能性があります。生き残るための共通点は「技術を新しい市場に展開する力」ですね。
技術者は、自分の専門技術を、今いる業界だけでなく、別の成長市場で活かせないかを考える。会社は、社内にある技術、設備、特許、人材を、既存事業だけでなく、次の事業領域に展開できないかを考える。同じことです。
基本的な考え方は、何度もこのブログで述べたような新規事業と同じです。
強み技術 × 伸びる市場 = 新規事業の方向性
これは個人のキャリアにも当てはまります。
強み技術 × 伸びる市場 = 技術者としてのニーズ
同じ技術でも、縮小市場の中では価値が下がります。一方で、伸びる市場や深い顧客課題に結びつけば、価値は再び高まります。技術の価値は、技術そのものだけで決まるわけではありません。どの市場に置くか、どの課題に使うかによって変わるのです。
変化の激しい時代に生き残るためには、技術を守るだけでは不十分です。自分たちの技術を、新しい市場や用途に展開する力こそが、これからの製造業と技術者に必要になるのだと思います。
お困り事がありましたらいつでもご相談ください!
技術から新規事業を生み出す方法を、技術士向け研修会でお話しします
このたび、日本技術士会 神奈川県支部の 「2026年度 技術士開業及び業務開拓のための研修会(実践コース)」 にて、技術士向け研修会で講演・演習を担当します。
なお、技術士向けのセミナーになっています。ご了承ください。
今回の研修会のテーマは、「新規事業創出」と「商品設計」です。
私は第1部で、「現場技術から新規事業を生む技術士の思考法」というテーマで講演します。
日時は、2026年5月16日(土)10:00〜16:55、会場は 産業貿易センター(横浜市中区山下町2番地) です。詳細は日本技術士会 神奈川県支部の案内ページをご覧ください。
製造業や素材・デバイス分野の企業には、優れた技術、設備、特許、人材、過去の研究開発テーマが数多く存在しています。しかし、それらがそのまま新規事業につながるとは限りません。私が新規事業創出で重視しているのは、次の考え方です。
強み技術 × 伸びる市場 = 新規事業の方向性
自社の技術を棚卸しし、要素技術や機能に分解する。
そのうえで、成長市場や顧客課題と掛け合わせ、事業化の仮説を作ります。
今回のセミナーでは、こうした考え方をもとに、技術を顧客価値に翻訳し、新規事業テーマへ育てる方法についてお話しします。さらに参加者には例題を解いてもらい実践的な力を受けてもらうことにしています。
私は現在、製造業・素材・デバイス分野を中心に、新規事業創出、技術マーケティング、研究開発テーマの具体化を支援しています。
社内に技術はあるが、新規事業につながっていない。
技術の活かし方を外部の視点で整理したい。
研究開発テーマを市場や顧客につなげたい。
このような課題をお持ちの企業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
技術がわかる新規事業創出の伴走者として、事業化の初期段階からご支援いたします。




