日々の気づき/ブログ
知財(特許)をマーケティング/新規事業創出に利用する その2 営業への利用
営業に利用
知財(特許)を営業に利用する方法はいくつかありますが、まずは一番簡単なことを説明します。ただしこの方法は相手が技術系に限ります。
ずばり、会う方の名前を特許検索します
検索するサイトは製造業の企業さんだと独自の有料サイトを契約している場合が多いと思いますが、無料版もあります。
それが、こちらの特許情報プラットフォームというものです。
特許情報プラットフォーム
ここのページにやり方も記載されていますね
出願人/発明者から検索
名前の入力は少し特殊で図のように入れないと漏れがあるそうです。また同姓同名がいると困るので、出願人/権利者(一般的には会社になります)に所属の会社名を入れて同姓同名を避けます。同じ会社に同姓同名がいた場合は難しいですね。そうすると、検索結果に特許が複数出てきます。特許を出していない人だと残念ながら出てきません。
私の場合は圧電関係の特許がたくさん出てきます。さらには振動発電とかもありますから、会ったときにその話題をそれとなく出すことで話が盛り上がります。会う相手の技術背景がわかるので、営業もやりやすくなると思います。
さらに、売り込みたい商品について関連特許を出願している人のところに行けば成功の確率が上がるかもしれませんし、様々な情報が得られるかもしれません。
実際にこの方法を私は使っていましたし、ある会社さんの営業も使っています。ちょっとしたことなのですが、切り口として技術の話題ができるので、話が弾みやすいです。
使ったことがない方はぜひ試してみてください。
次回は上級編を記載したいと思います。
知財(特許)をマーケティング/新規事業創出に利用する その1
特許を調べたことはありますか?
大きな企業で働く技術者であれば、自分で特許を書いた経験がある方も多いでしょう。
国内で年間にどれくらいの特許が出願されているかご存知ですか?
以下のデータは、特許庁から取得したものです。
毎年約30万件の特許が出願されており、これらのデータは20年以上にわたって蓄積された検索可能なデータベースにあります。最も古い記録は昭和後半から参照可能です。海外のデータを含めると、その数はさらに膨大になります。
特許の内容を大まかに説明すると、以下のようになります。
ここで特に注目してほしいのは、発明の概要、特に解決しようとする課題、手段、効果の部分です。他社の特許を調べることで、その企業が直面している
・課題:問題点(他社のニーズ)
・手段:解決策(他社の考えやコンセプト、ノウハウなどが明らかになります)
・効果:その成果や応用先(他社がどのような製品を目指しているかが推測できます)
といった情報が見えてきます。
これらを熟読し、自社に適用することが望ましいです。
なお、特許の公的な検索サイトがこちらにあります:https://www.j-platpat.inpit.go
次回以降、さらに詳しい説明を加えていきます。
素材の強みを活かす:新規事業創出と異分野応用の方法
素材に関連する会社から新規事業創出の相談を受けることがよくあります。一般的なアプローチとして、素材の強みを起点にした戦略を推奨しています。このプロセスでは、素材の特徴を徹底的に分析し、代替製品としての利用や新たな分野への参入の可能性を検討します。大まかな流れは以下の通りです。
1.同等素材やライバル会社の動向チェック
・自社の素材で競争できる領域があるかを評価します。
2.物質の特性と機能の洗い出し
・物質の既知の物理的および化学的特性をリストアップします。これには状態、色、臭い、溶解性、融点、沸点、密度、硬さなどが含まれます。物質の化学的特性を考慮に入れます。物質がどのように現在使用されているか、既知の機能を理解します。
3.異分野での応用チェック
・他分野の物質や技術と比較し、物質が他のアプリケーションでどのように利用できるかを検討します。
・既存の他社の素材との置換えの可能性を想像してみます。
このようなアプローチにより、自社の強みを他分野で生かせるかを探ります。
実際のコンサルティングプロセスでは、より詳細な議論を参加メンバーと共に進めていきます。また必要に応じて別のアプローチ方法などを用いたりもします。技術者だけでなく、営業、知財、企画部門のメンバーも交えることで、より効率的な議論が可能になります。
新規事業は小さく始めて大きく育てる ~3回転半ひねりのイノベーション~
研究開発とランチェスターの法則
研究開発とランチェスターの法則
ランチェスターの法則は、軍事のために見いだされた法則ですが、日本では営業の方の間で流行した法則です。簡単に言うと、強者の戦略と弱者の戦略は大きく異なるということです。弱者は強者のように広域で戦えないので一点集中する方がよいということです。
ランチェスターの法則 wiki
さて、研究開発においてはどうでしょうか。
特に新規テーマや後発のテーマの場合、自分たちが弱者であることをよく認識しなければなりません。この認識が間違っていると、成功することはできません。特に、大企業では強者である分野が複数あったり、既存事業にはリソースが十分にあるので、新しい研究開発においても強者の戦略をとりがちですが、多くの場合失敗してしまいます。新規の場合はスタートは少人数、小予算ですので、新しい分野への参入はベンチャー企業と同じです。
研究開発では、自身が弱者であることをよく認識し、できるだけ特徴のある技術、差別性のある技術に絞って他社よりも少しでも先に行くことが必要です。その、少しでも差別性のある技術はなにか?というのが一番難しいのですが、徹底的に考えるしかありません。後追いのみでは到底勝てるはずもありません。
私事で恐縮ですが、約10年前に1人である技術の開発を進めました。
その時は1人だったので、ある特徴にこだわって、他の性能は無視して開発を進めました。その結果、目標とする性能を達することができました。うまくいくようになると、急に周りの助けも得られるようになり、開発がどんどん進むようになりました。
その後、世界中の企業の方が共同開発したいとやってきました。これは、1つの特徴にフォーカスして開発した結果、私1人でも課題を突破することができ、その突破をきっかけにテリトリーを広げていくという、まさにランチェスターの法則そのものです。
研究開発を進めている人はぜひとも、1つの特徴のあるところに力を集中して、成果をあげて、その後広げていってほしいと思います。決して、自身を強者と思って、他者の後追いで同じことをやってはいけません。