日々の気づき/ブログ

2023-12-05 23:30:00

革新的な陸上養殖で地域経済を活性化!地方創生の新潮流

ある化学メーカーの新規事業のコンサルティングにて人工海水というものを開発しました。
人工海水とは海水中の塩を含むミネラルの粉です。要は食塩にその他のミネラルが含まれている粉と思ってください。それを水に混ぜ込むと海水が出来上がります。
何に使うかと言うと、陸上養殖です。

陸上養殖は陸の上で海の魚を養殖するので海水が必要となりそのための素になります。
その人工海水を売るためにマーケティング(コンサルティングの一部)をしていたところ、フグやヒラメを飛騨高山で養殖している「飛騨海洋科学研究所」さんと仲良くなりました。

http://hidatorafugu.com/

そこでは、フグを中心に地方(比較的山間部)に養殖のプラントを作って、地域ぐるみで養殖魚のブランド化を進めています。魚種などはお問い合わせください。

また特殊な餌も開発しており、その餌には少しだけ地域の特産物を入れることにしています。
そうすると、地域産の餌で育った地域ブランドの魚が出来上がります。

陸上養殖は海洋養殖と異なり、台風などの影響を受けないため安定した生産が望めます。一方でプラントが必要なので初期の投資がかかります。しかしながらブランド化できれば地域の活性化の効果は大きと考えています。

新規事業創出のコンサルティングでは思わぬ出会いがあり、さらにビジネスが広がっていきます。面白いですね!

ご興味があればご連絡ください。

 

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写真は飛騨海洋科学研究所HPより

2023-12-03 20:49:00

市場変化と企業内課題: 大企業が直面した技術開発プロジェクト失敗の教訓

新規事業を上手く運営している大企業でさえ、失敗事例は数多く存在します。私が経験したいくつかの事例を、生々しい内容をデフォルメしてお伝えします。

2000年頃、将来大きく成長が期待されていた分野に焦点を当て、自社の得意とする技術を活用した商品開発を進めていました。このプロジェクトは大学からの技術をベースにし、社内で改良を加えた素材を使用していました。全社を挙げた大規模な取り組みであり、比較的大きな研究予算と数十名の研究者が関与していました。多くの困難を乗り越えて試作品が完成し、新聞で大々的に発表されました。これは商品の発売告知ではなく、「このような製品を開発した」という趣旨で、数年後の市場導入を目指し、ニーズを掘り起こすためのマーケティング宣伝でした。

しかし数年後、技術はある程度完成していたものの、この商品にはもはや需要がなく、さらに安価な代替技術が進歩していました。この情報は先に述べた新聞発表の時点で既に明らかでしたが、多くの関係者が関与していたため、プロジェクトをただちに中止することはできず、さらに関係者は認知のバイアス(「ライバルの技術は失敗するだろう」「自社の技術の方が優れている」)に囚われ、ネガティブな情報を上層部に伝えることを避けていました。その結果、莫大な予算を無駄に消費し、顧客の関心が薄れても顧客開拓や技術改良を続けることになりました。

最終的に、経営トップが交代した際に、このプロジェクトはひっそりと中止されました。

この話におけるプロジェクトの失敗原因は主に以下の点に集約されます:
・市場の変化への対応不足: プロジェクトが進行中に該当商品の市場ニーズが変化し、代替技術が進歩したにもかかわらず、これらの変化に対応するための適切な戦略の調整が行われませんでした。
・組織内のコミュニケーション不足: ネガティブな情報が上層部に伝えられなかったため、組織として適切な意思決定ができませんでした。これは、情報の隠蔽や認知のバイアス(自社の技術や製品に対する過度の楽観視)によるもので、結果的に経営層が現実に即した決定を下す機会を失いました。
・リソースの無駄遣い: 大企業の構造と関係者の多さにより、プロジェクトの即時中止が困難であり、結果として無駄な予算と時間が消費されました。これは、組織の柔軟性の欠如と迅速な決定を下す能力の不足を示しています。
・トップマネジメントの方針不在: 経営トップの方針やリーダーシップの不在が、プロジェクトの中止を遅らせた可能性があります。組織のリーダーが明確な方向性を示し、迅速な対応を行うことは、このような状況において非常に重要です。

新規事業の失敗の理由は多岐にわたりますが、これは一つの事例として紹介しました。同様の事例は多数存在すると思いますが、上手くコンサルティングを活用し、方向性を修正していくのが重要です。

 

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2023-11-27 17:36:00

振動発電デバイスの解説:圧電方式、静電方式、電磁方式、磁歪方式の特徴と原理

振動発電デバイスには、圧電方式、静電方式、電磁方式、磁歪方式という4つの主要な方式があります。これらの方式は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための異なる原理と特性を持っています。それぞれの方式について説明します。

圧電方式:
原理:圧電材料(例えば、セラミックスやポリマー)を使い、物理的な圧力や振動が加わると電気的な荷電を生じる現象を利用します。
特徴:高い電圧を生成できる。
      小型で軽量/小型デバイスに向く
      直接電圧が得られるため、簡単な電力変換が可能。

静電方式:
原理:静電誘導を利用して、振動によって変化する電極間の容量の変動を電気エネルギーに変換します。
特徴:高い電圧を生成できるが、電流は小さい。
     構造が複雑になりがち。
     振動の振幅が大きい場合に適している。
     高いインピーダンスの負荷に適している。
  
電磁方式(モーター):
原理:コイルと磁石を使用し、振動による相対的な運動で磁束の変化を起こし、ファラデーの電磁誘導の法則により電気を発生させます。
特徴:低いインピーダンスの負荷に適している。
     比較的大きな電力を生成可能。
     しかし、サイズが大きくなる傾向がある。
     振動の周波数が低い場合に適している。

磁歪方式:
原理:磁歪材料(磁気に反応して形状が変化する材料)を使用し、振動によって生じる磁場の変化を電気エネルギーに変換します。
特徴:振動からの電力変換効率が比較的高い。
   構造が複雑になることがある。
      他の方式と比べて、最近開発されている

これらの方式は、それぞれの利点と制約があり、用途に応じて選択されます。
まったくの私見ですが、小型軽量なデバイスや高い電圧が必要な用途では圧電方式が、大きな振動エネルギーを捉える必要がある場合には電磁方式が適しています。インフラ等で長期の使用を考えると磁歪方式がいいのではと思います。

専門は圧電ですが他の方式においても、用途探索や構造の最適化、回路や出口との組み合わせなどご相談ください。

 

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2023-11-23 21:23:00

新規事業成功の秘訣:魔の川と死の谷を越える実践的戦略

新しいビジネスを立ち上げる際、多くの企業は予想外の障害に直面します。これらの障害はしばしば「魔の川」と「死の谷」と呼ばれ、製品開発から市場への導入までの道のりにおいて重要な役割を果たします。

 

魔の川:イノベーションの障壁

「魔の川」とは、基礎研究から製品開発フェーズへの移行を指します。この段階では、技術を市場のニーズに合わせて適用し、実用的な製品に変える必要があります。このプロセスで製品化の見通しが立たなければ、投資した資源が無駄になるリスクがあります。この障壁を乗り越えるためには、技術と市場の両方の理解が不可欠です。

死の谷:市場導入の困難

一方、「死の谷」は製品化から事業化への過渡期を指します。この段階では、生産ラインの構築や流通経路の確保など、膨大な資金と労力が必要となります。ここでリソースを失うと、事業に大きな打撃を受ける可能性があります。

ダーウィンの海:市場での生存競争

さらに、製品やサービスが市場に導入された後は、「ダーウィンの海」という新たな障害が待ち受けています。競合他社との競争、製品の差別化、顧客評価など、市場での生存競争に勝つことが成功への鍵となります。

解決策:フレキシブルな計画と継続的な評価

これらの課題に対処するためには、フレキシブルな計画と継続的な評価が必要です。私のコンサルティングやセミナーでは、新規事業創出時にこれらの障壁を念頭に置いてテーマを設定します。すべての問題を解決する魔法の解答はありませんが、計画に柔軟性を持たせ、市場や技術の変化に迅速に対応することが成功への鍵です。

新規事業の道のりは決して容易ではありませんが、これらの障害を理解し、適切に対処することで、成功への可能性を高めることができます。

 

参考:2024.3.4セミナー https://www.rdsc.co.jp/seminar/240314

 

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2023-11-19 19:22:00

振動エネルギーから電力へ:圧電材料を用いた振動発電素子の革新的な開発とその応用

近年、再生可能エネルギー分野で注目を集めているのが、圧電材料を用いた振動発電素子です。この技術は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換するために圧電効果を利用します。圧電材料は、機械的な圧力が加わると電気を発生する特性を持ち、この特性を活用して振動エネルギーを捕捉し、電力に変換するのです。

前回の日記でご紹介した東北大学の桑野先生の会社「仙台スマートマシーンズ」は、このような振動発電素子を開発しています。

仙台スマートマシーンズ株式会社 http://www.ssmcoltd.co.jp/

私自身、桑野先生とは共同で研究で何年間かは一緒にやっていました。


この技術の最大の特長は、環境からの微小な振動を利用できる点にあります。例えば、交通機関の振動や産業機械の動作による振動など、日常的に発生するエネルギーを捉え、利用することが可能です。
しかし、振動のような微小なエネルギーを利用して発電するため、大規模な電力の生成は期待できません。多くの方から「スマートフォンの充電は可能か?」という質問を受けますが、かなりの振動と時間が必要となるため、現実的ではありません。それでも、近年のセンサ技術の進歩により、低消費電力のセンサが多く開発されており、Bluetoothも低消費電力化が進んでいます。

桑野先生のウェブサイトでは、自動車の振動を利用してセンシングする例などが紹介されていますが、用途は多岐にわたります。現在は大量生産されていないためコストは高いですが、適切な用途が見つかれば、実用化が進むと考えられます。

良い用途が思いついたら、ぜひビジネス展開を検討していただきたいです。何かご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。

 

図は仙台スマートマシーンズHPより

 

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