日々の気づき/ブログ

2024-05-24 21:00:00

知財(特許)をマーケティング/新規事業創出に利用する その3 ライバル会社の調査と新規事業

ライバル会社の調査と新規事業

知財(特許)を新規事業のテーマ出しに利用することができます。簡単な方法は、ライバル会社や同様の事業を行っている会社の知財を調べることです。知財を調べる前に、対象となる会社の商品群をHPで確認するのも有効です。

要は、
・同じような強みを持つ企業はどんな商品を開発しているのか?
・将来像をどう考えているのか?

ということを調べていきます。特に特許は開発中の商品でも出願されるため、数年後の商品をある程度予測することができます。

わかりやすい例として、コロナ禍でマスクで有名になった「不織布」を考えてみましょう。
自社が不織布を扱っている企業だったとします。ライバル企業はどんな商品を出しているでしょうか?ライバル企業の特許群を検索してみると、さまざまなことが分かると思います。

特許情報プラットフォームの特許・実用新案の検索ページで検索を行います。

特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go

で、検索項目を「出願人/権利者/著者所属」に変更し、ライバル企業の名前をキーワードに入力します。検索結果が膨大な場合は、全文や請求の範囲などの項目を選んで「不織布」と入力して絞り込みます。
例えば、ライバル企業として私の前職の「富士フイルム」を例に、「不織布(全文)」を入力してみます。富士フイルムは不織布がメインの会社ではありませんが、国内だけで2400件以上がヒットしました。「不織布」を請求の範囲のみに限定すると、国内で125件がヒットしました。この数なら斜め読みでも対応可能です。



最近の出願を確認すると(詳細までは見ていませんので、ご了承ください)、
・集塵フィルタ
・インクジェット
・コピー機
・建築用防水シート
・細胞分離フィルター

等々に利用されていることがわかります。
もし、自社がこのような応用商品を持っていなかったら、これらの特許を参考に自社の新規事業の参考にできるのではないでしょうか?自社の不織布の特徴が活きる商品になると思います。自社の商品のライバル会社の特許を調べて、ライバルの出願状況をベンチマークする、さらには最近の特許を調べることでライバルの将来の商品が予想できるということです。

以上のように、他社の特許を調べて自社の商品開発や新規事業に利用するのは有効な方法です。ぜひともトライしてみてください。

次回も特許を使った新規事業について書いていきます。

2024-05-18 22:12:00

知財(特許)をマーケティング/新規事業創出に利用する その2  営業への利用

営業に利用

知財(特許)を営業に利用する方法はいくつかありますが、まずは一番簡単なことを説明します。ただしこの方法は相手が技術系に限ります。

ずばり、会う方の名前を特許検索します
検索するサイトは製造業の企業さんだと独自の有料サイトを契約している場合が多いと思いますが、無料版もあります。

それが、こちらの特許情報プラットフォームというものです。
特許情報プラットフォーム

ここのページにやり方も記載されていますね
出願人/発明者から検索

名前の入力は少し特殊で図のように入れないと漏れがあるそうです。また同姓同名がいると困るので、出願人/権利者(一般的には会社になります)に所属の会社名を入れて同姓同名を避けます。同じ会社に同姓同名がいた場合は難しいですね。そうすると、検索結果に特許が複数出てきます。特許を出していない人だと残念ながら出てきません。

私の場合は圧電関係の特許がたくさん出てきます。さらには振動発電とかもありますから、会ったときにその話題をそれとなく出すことで話が盛り上がります。会う相手の技術背景がわかるので、営業もやりやすくなると思います。
さらに、売り込みたい商品について関連特許を出願している人のところに行けば成功の確率が上がるかもしれませんし、様々な情報が得られるかもしれません。

実際にこの方法を私は使っていましたし、ある会社さんの営業も使っています。ちょっとしたことなのですが、切り口として技術の話題ができるので、話が弾みやすいです。

使ったことがない方はぜひ試してみてください。

次回は上級編を記載したいと思います。

2024-05-14 08:40:00

知財(特許)をマーケティング/新規事業創出に利用する その1

特許を調べたことはありますか?
大きな企業で働く技術者であれば、自分で特許を書いた経験がある方も多いでしょう。

国内で年間にどれくらいの特許が出願されているかご存知ですか?
以下のデータは、特許庁から取得したものです。

毎年約30万件の特許が出願されており、これらのデータは20年以上にわたって蓄積された検索可能なデータベースにあります。最も古い記録は昭和後半から参照可能です。海外のデータを含めると、その数はさらに膨大になります。

特許の内容を大まかに説明すると、以下のようになります。

ここで特に注目してほしいのは、発明の概要、特に解決しようとする課題、手段、効果の部分です。他社の特許を調べることで、その企業が直面している
・課題:問題点(他社のニーズ)
・手段:解決策(他社の考えやコンセプト、ノウハウなどが明らかになります)
・効果:その成果や応用先(他社がどのような製品を目指しているかが推測できます)
といった情報が見えてきます。

これらを熟読し、自社に適用することが望ましいです。
なお、特許の公的な検索サイトがこちらにあります:https://www.j-platpat.inpit.go

次回以降、さらに詳しい説明を加えていきます。

2024-04-28 20:47:00

素材の強みを活かす:新規事業創出と異分野応用の方法

素材に関連する会社から新規事業創出の相談を受けることがよくあります。一般的なアプローチとして、素材の強みを起点にした戦略を推奨しています。このプロセスでは、素材の特徴を徹底的に分析し、代替製品としての利用や新たな分野への参入の可能性を検討します。大まかな流れは以下の通りです。

1.同等素材やライバル会社の動向チェック
・自社の素材で競争できる領域があるかを評価します。

2.物質の特性と機能の洗い出し
・物質の既知の物理的および化学的特性をリストアップします。これには状態、色、臭い、溶解性、融点、沸点、密度、硬さなどが含まれます。物質の化学的特性を考慮に入れます。物質がどのように現在使用されているか、既知の機能を理解します。

3.異分野での応用チェック
・他分野の物質や技術と比較し、物質が他のアプリケーションでどのように利用できるかを検討します。
・既存の他社の素材との置換えの可能性を想像してみます。

このようなアプローチにより、自社の強みを他分野で生かせるかを探ります。
実際のコンサルティングプロセスでは、より詳細な議論を参加メンバーと共に進めていきます。また必要に応じて別のアプローチ方法などを用いたりもします。技術者だけでなく、営業、知財、企画部門のメンバーも交えることで、より効率的な議論が可能になります。

2024-04-15 09:05:00

新規事業は小さく始めて大きく育てる ~3回転半ひねりのイノベーション~

新規事業を成功させるには、スタートから顧客のフィードバックを取り入れることが重要です。この過程で得られる情報は、ビジネスの方向性を根本的に変える力を持っています。まるで体操の三回転半ひねりのように、始まりのポイントと終わりのポイントが予想外に異なることが、新規事業においてはしばしばあります。

多くの場合、特に大企業では、過去の成功事例にこだわるあまり、初期の計画が完璧であるという幻想に囚われがちです。しかし、市場は常に変動しており、消費者のニーズも変わり続けています。このため、初期の計画に固執することなく、プロジェクトを進行中に適宜調整を加える柔軟性が求められます。提案者が新たな方向性を模索することを叱責するのではなく、それを支持し助言を行う文化が必要です。

顧客からのフィードバックを生かすことは、市場の変化に迅速に対応し、より良い製品やサービスを提供するための重要な鍵です。顧客と直接対話を行いその意見を事業計画に反映させることで、顧客が本当に求めるものを提供することが可能になります。これには定期的な市場調査や顧客インタビュー、プロトタイピングのテストとフィードバックの循環が含まれます。

しかし、実際には新規事業の道のりは予測が困難で計画通りに進まないことも多いです。この不確実性を受け入れそれに適応することができる企業だけが競争の激しい市場で生き残ることができます。事業計画を柔軟に見直すことは、ただの反応ではなく戦略的な選択です。失敗を恐れず、それを学びの機会と捉えて次のステップへと進む勇気が成功への道を開きます。

最終的には新規事業はその性質上、不確実性が高く、リスクを伴いますが、これを理解し受け入れることが重要です。初期の計画が完璧である必要はなくむしろ市場の実情に基づいて常に更新を続けることが成功の秘訣です。顧客との継続的な対話を通じて、柔軟に計画を更新し、適切なタイミングで適切な調整を加えることが、新規事業を成功に導く鍵となります。このような思考が根付くことで、新規事業は顧客の真のニーズに応え、市場での成功を収めることができると思います。

三回転半ひねり.jpg

 

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