お知らせ
技術から新規事業を生み出す方法を、技術士向け研修会でお話しします
https://fujii-tech.com/diary/228076
このたび、日本技術士会 神奈川県支部の 「2026年度 技術士開業及び業務開拓のための研修会(実践コース)」 にて、技術士向け研修会で講演・演習を担当します。
なお、技術士向けのセミナーになっています。ご了承ください。
今回の研修会のテーマは、「新規事業創出」と「商品設計」です。
私は第1部で、「現場技術から新規事業を生む技術士の思考法」というテーマで講演します。
日時は、2026年5月16日(土)10:00〜16:55、会場は 産業貿易センター(横浜市中区山下町2番地) です。詳細は日本技術士会 神奈川県支部の案内ページをご覧ください。
製造業や素材・デバイス分野の企業には、優れた技術、設備、特許、人材、過去の研究開発テーマが数多く存在しています。しかし、それらがそのまま新規事業につながるとは限りません。私が新規事業創出で重視しているのは、次の考え方です。
強み技術 × 伸びる市場 = 新規事業の方向性
自社の技術を棚卸しし、要素技術や機能に分解する。
そのうえで、成長市場や顧客課題と掛け合わせ、事業化の仮説を作ります。
今回のセミナーでは、こうした考え方をもとに、技術を顧客価値に翻訳し、新規事業テーマへ育てる方法についてお話しします。さらに参加者には例題を解いてもらい実践的な力を受けてもらうことにしています。
私は現在、製造業・素材・デバイス分野を中心に、新規事業創出、技術マーケティング、研究開発テーマの具体化を支援しています。
社内に技術はあるが、新規事業につながっていない。
技術の活かし方を外部の視点で整理したい。
研究開発テーマを市場や顧客につなげたい。
このような課題をお持ちの企業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
技術がわかる新規事業創出の伴走者として、事業化の初期段階からご支援いたします。
ブログ更新 : 技術とキャリアの「賞味期限」をどう延ばすか ~新規事業の法則で考える、技術者の生存戦略~
https://fujii-tech.com/diary/226911
技術とキャリアの「賞味期限」をどう延ばすか ~新規事業の法則で考える、技術者の生存戦略~
GWですね。今回は会社ではなく個人のキャリア開発に役に立つお話を書こうと思います。
まず一つ問いかけさせてください。
「あなたが今持っている専門技術は、5年後、10年後の市場でも、同じ価値を保てているでしょうか?」
技術の進歩が速い現代では、昨日までの「稼ぎ頭」だった技術が、競合他社の台頭や市場構造の変化によって、急速にコモディティ化してしまうことがあります。
たとえば、あるセラミックスの専門家が独立し、当初は順調に仕事を受注していたとします。
しかし、海外勢の技術力が向上し、国内企業が相次いで撤退。その結果、国内での仕事が激減しました。
サラリーマンでも同じで、セラミックス分野の専門として就職したのに、会社がその分野から撤退してしまい、社内失業してしまった。
これはあくまで一例ですが、多くの技術者が「今の専門分野は、いつまで続くのだろうか」という不安を抱えているのではないでしょうか。
こうした状況を打破するヒントは、新規事業開発の考え方と同じです。
新規事業の法則:成功は「掛け算」で決まる
新規事業を考える際、私は次のような方程式が重要だと考えています。
強み技術 × 伸びる市場 = 新規事業の方向性
どれほど高度な技術を持っていても、市場そのものが縮小していれば、事業としての成功確率は高くありません。逆に、自社の技術を「今まさに伸びている市場」に適用できれば、ビジネスは一気に加速する可能性があります。つまり、新規事業では、技術そのものの優劣だけでなく、その技術をどの市場にぶつけるかが重要になります。
キャリアにも同じ方程式が使える
この考え方は、個人のキャリア設計にも当てはまります。
強み技術・得意分野 × 伸びる市場 = キャリアとしての強いニーズ
もし、今の職域や市場でニーズが減っていると感じるなら、それは必ずしも技術力が落ちたからではありません。
むしろ、技術と市場の掛け合わせが、時代と合わなくなってきている可能性があります。そして伸びる市場は人が足りてないため、あなたの強みは必ず重宝されます。それはお金にも直接つながるかもしれません。キャリアを行き詰まらせないためには、既存の業界や職域の中で踏ん張るだけでなく、「自分の居場所」を再定義する必要があります。
強みを分解し、適用領域を広げる
では、どうすればよいのでしょうか。
まずは、自分の専門性を特定の業界用語から切り離し、要素技術や機能にまで分解してみることです。
たとえば、「セラミックスの専門家」ではなく、次のように捉え直します。
・材料設計技術
・精密な組織制御
・特定の製造技術、評価技術
・量産設計や品質保証
・特定分野の市場についての知見
このように分解すると、自分の技術が特定業界だけに閉じたものではなく、他の成長分野にも応用できる可能性が見えてきます。
次に、分解した強みが、伸びる市場のどこにフィットするかを考えます。半導体、次世代エネルギー、宇宙産業、医療機器、ロボット、DX化が進む製造現場など、技術を必要としている市場は数多くあります。
重要なのは、自分の技術を「今までの業界のための技術」として見るのではなく、別の課題を解くための道具として捉え直すことです。
次のアクションにつなげる
強みと市場の接点が見えてきたら、次は具体的な行動に移します。
たとえば、成長産業の企業へ転職する。
専門性の高いコンサルタントとして独立する。
現在の組織の中で、新しい業界への展開を提案する。
あるいは、副業、共同研究、外部連携を通じて、小さく市場との接点を作る。
キャリアの再定義は、必ずしも大きな転身を意味するわけではありません。
まずは、自分の技術がどの市場で評価されるかを試すことが重要です。
キャリア開発は「自分という名の新規事業」である
新規事業では、市場の変化に合わせて、技術の適用先を変えていきます。
技術者のキャリアも同じです。
時代のニーズに合わせて、自分の強みをどの市場に適用するかを考え続ける必要があります。
「一つの分野を極める」ことは素晴らしいことです。
しかし、それと同じくらい、自分の強みをどの市場で活かすべきかを考える視点も重要です。
技術の賞味期限は、市場によって短くも長くもなります。
だからこそ、技術者は「今の専門を守る」だけでなく、その専門をどこで活かすかを考え続ける必要があります。
変化の激しい時代にプロフェッショナルとして生き残るためには、技術力に加えて、自分の市場を選び直す力が不可欠です!
自身の将来を見据えて考えてみてはどうでしょうか?
ブログ更新 : AIで埋もれた技術の強みを掘り起こす
https://fujii-tech.com/diary/225593
AIで埋もれた技術の強みを掘り起こす ― 富士フイルムの圧電特許を例に、自社・他社分析を考える ―
最近、AIを使って企業の技術や特許を分析する機会が増えています。
以前は、特許を1件ずつ読み、分類し、用途や狙いを整理しながら、その企業の強みや方向性を考える必要がありました。かなり時間のかかる作業です。
もちろん、最終判断は人が行うべきです。
ただ、AIを使うことで、大量の情報をまず俯瞰し、全体像を短時間でつかむことができるようになりました。
今回、富士フイルムの2010年以降の圧電関連特許を整理してみると、約600件規模の出願がありました。これだけでも、圧電が単発テーマではなく、長年積み上げてきた重要技術領域であることがわかります。これらの特許をダウンロードしてAIに読み込ませて分類してみました。
まず、全体像をざっくり見ると、次のような広がりがありました。
(以下は、公開特許情報のみをAIで整理・要約した結果です。筆者自身の社内経験はインプットしていません。)
まずは、AIで整理した全体像を簡単に示します。
この結果から見えてきたのは、富士フイルムが単に「圧電材料を持っている会社」ではないということです。むしろ強いのは、圧電を実際に使えるデバイスに仕上げる技術です。
その方向性を示す特許が多く見られました。特許の中身を見ていくと、PZT系薄膜や積層体をベースにしながら、電極との界面、シード層、酸素制御、低電圧駆動、耐久性向上など、細かな工夫が積み重ねられています。これは、材料単体の性能競争というより、デバイスとして安定に動かし、量産に載せるための技術開発です。
さらに、特許の中身から見えてきた強みを整理すると、次のようになります。
特に印象的だったのは、インクジェット関連の厚みです。
この分野では、高速駆動、耐久性、ばらつき抑制、ヘッド全体との整合が重要になります。つまり、研究室で「動いた」だけでは不十分で、壊れず、安定に、量産で使えることが求められます。富士フイルムは、まさにそこに強みを持っているように見えます。
さらに、医療用超音波や音響デバイスへの展開もありました。
一つの用途だけで終わらず、別市場へ横展開できる点も、技術基盤の強さを感じさせます。
さて、こうした分析は、他社分析だけでなく、自社分析にも有効です。自社の特許や技術資料をAIで整理してみると、当たり前と思っていた技術が実は強みであり、別の市場で価値を持つ可能性が見えてくることがあります。逆に、広く使えると思っていた技術が、実は用途の狭い技術だとわかることもあります。新規事業は強みに立脚して考えるべきであり、その意味でもこうした整理は重要です。
私自身、コンサルティングの現場では、企業の技術を整理し、その強みや抜けを見ながら、新しい用途や業界との結びつきを考える支援をしています。特に素材、部材、製造技術のようなBtoB分野では、まず自社技術の構造を整理し、どこで勝てるかを見立てることが重要です。AIはその初期整理を大きく加速してくれる道具になってきました。かなり効率よくできるようになりました。
AIが答えをそのまま出してくれるわけではありません。
だからこそ、AIで全体像をつかみ、人が技術の本質を読み解き、事業の可能性へつなげることが重要です。
これからは、AIを「答えを出す機械」としてではなく、自社や他社の技術を整理し、強みを見つけるための思考支援ツールとして使うことが、ますます重要になっていくと思います。
技術を特許という切り口で整理し、強みを見つけ、どの市場につなぐかを考えてはじめて、事業の可能性が見えてきます。自社技術の棚卸しや、新規事業のテーマ探索、他社技術の見立てに関心のある方は、お気軽にご相談ください。
ブログ更新 : 素材系BtoBの初期ネタ出しは、シーズ起点の方が機能しやすい
https://fujii-tech.com/diary/224502
素材系BtoBの初期ネタ出しは、シーズ起点の方が機能しやすい
素材系の会社の新規事業のネタ出しでは、最近、デザイン思考や顧客起点の議論をよく耳にします。
しかし、素材BtoBの現場では、必ずしもうまく機能していないケースも少なくないようです。実際、私の周りでも複数の企業からそのような話を聞いています。大手コンサルティング会社が主導している場合でも、現場がしっくりきていないことがあるようで、その点には少し驚かされました。
もちろん、デザイン思考そのものが悪いわけではありません。
実際、私自身もデザイン思考を活用し、素材とデザインを組み合わせた商品でグッドデザイン賞を受賞した経験があります。ですから、手法としての価値は十分に理解しています。
ただし、素材BtoBの初期ネタ出しにそのまま持ち込むと、やや遠回りになることがあります。
問題は手法そのものではなく、使い方です。
素材は最終顧客の感情だけで選ばれるものではなく、性能、工程適合、信頼性、コスト、供給性といった要素で採用が決まります。
そのため、素材系の会社では、まず自社のシーズを細かく分解し、その強みを言語化したうえで、伸びる市場や用途と掛け合わせる方が、新規事業のネタ出しとしてははるかに機能しやすいと感じています。
素材系企業の新規事業支援では、技術の構造化から用途探索、関連特許の確認まで含めて伴走しています。自社の強みを活かしたテーマづくりにご関心があれば、お気軽にご相談ください。
ブログ更新 : 社内の「ホントか?」を黙らせる、唯一無二の解決策とは?
https://fujii-tech.com/diary/223491
社内の「ホントか?」を黙らせる、唯一無二の解決策とは?
3/21のブログ「自主研究(闇研究)を実用化する方法:研究開発で成果を出す5つのポイント」について多くの反響をいただきました。
https://fujii-tech.com/diary/221679
今回は、その中でも「最も重要なことは何か?」について深掘りしたいと思います。
結論から申し上げます。
それは闇研究であっても、正式なプロジェクトであっても変わりません。
「顧客を見つけ、ファンにすること」。これに尽きます。
「社内の声」と「顧客の声」の決定的な違い
研究開発の現場では、上層部から幾度となくこんな質問を投げかけられます。
「その性能は、本当に実現できるのか?」
「コスト競争力は本当にあるのか?」
「他社には真似できない、オンリーワンの技術なのか?」
これらの問い(ホントか?)に対し、社内向けの資料であれば、見せ方次第でいくらでも「取り繕う」ことができてしまいます。しかし、顧客からの評価には「第三者の厳しい目」と「ビジネスの利害関係」が伴います。 嘘やごまかしが一切通用しないからこそ、そこには絶対的な信頼が宿るのです。
顧客がファンになれば、会社はプロジェクトを潰せない
私が以前開発したあるデバイスの事例をお話しします。
そのデバイスは圧倒的な性能を誇っていましたが、実は「水に弱い(耐水性が低い)」という、品質保証項目をクリアできない致命的な弱点がありました。
普通なら、この段階で開発中止です。しかし、試作段階でその性能に惚れ込んでくれた顧客は、こう言ってくれました。
「耐水性の問題はこちらでカバーする。構造工夫で回避するから、とにかくその性能を活かして実用化したい」
顧客が「どうしても欲しい」と言っているテーマを、会社がみすみす潰すわけにはいきません。顧客の熱狂が伝わった瞬間、それまで「闇研究」だったプロジェクトには、会社からの正式なバックアップという強力な追い風が吹き始めました。
サンプルができたなら、今すぐ外へ出よう
もし貴方の技術が優れているのなら、必ずファンになってくれる顧客は存在します。
完璧な製品を待つ必要はありません。サンプルができた段階で、まずは顧客のもとへ足を運びましょう!
社内の「ホントか?」という疑念を、顧客の「いつから使える?」という期待に変えていくこと。
これこそが、闇研究を「日の当たる場所」へ導く、最短にして唯一の道だと思います。
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