日々の気づき/ブログ

2021-10-24 23:06:00

オープンイノベーションの促進

オープンイノベーションと言う言葉が流行っています。簡単に言うと自社だけではなく他社、異業種、異分野が持つ技術やアイデア、サービスなどを組み合わせて進める手法です。企業の場合は他社との連携で新しいビジネスを創出すると考えるとわかりやすいと思います。

実際のコンサルティングでは、自社の強みを分析してから、社会潮流を加味して新たな研究テーマやビジネスを考えていきます。その際に足りない技術、異業種の知見が必ずと言っていいほど必要になり、他社/大学との連携を考える必要があります。
そして、大きな企業さんほど自社技術にこだわり、あまり他社と連携が取れていないと感じます。
 
そんなときに、私がコンサルティング先の企業さんと、他企業とつなぐことをやります。お互いに連携することでメリットの有りそうな企業を選んでコンタクトすることでWIn-Winの連携を考えます。
コンサルティング先の企業の研究者にとっては、対象企業の見つけ方や連絡の取り方など(営業部なら当たり前のようにやっていたようなこと)も、参考になるようです。

共同開発に進む案件もありますが、実際のところはすぐにはビジネスが生まれない場合が多いです。しかし、ゆるくでも連携があること、他社と連携することを研究者が体験することが次のビジネスにつながると思います。 

自社の技術をさらに発展させて大きなビジネスを作るために、一緒に考えてみませんか。

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2021-09-26 00:06:00

新規事業は誰が進めるべきか?

先日、ある企業様にて「ボトムアップ研究の重要性」についてこれまでの経験を元にお話させていただきました。

新規事業を進めるにあたって、トップダウンのテーマというのもありますが、私はボトムアップを薦めています。トップダウンのテーマは多くの人(周りの役員など)が納得しているテーマとなるので、レッドオーシャン(すでに他社も参入して競争になりそうなテーマ)となりやすいです。一方でボトムアップは小粒な感じのテーマが多いとは思いますが、小さく産んで大きく育てるテーマになります。途中での路線変更、朝令暮改も認める必要があります。

さらに現場の研究者や技術者から新しいテーマの提案が出るような仕組みづくりを含めて新規事業の創出活動を行うことが良いと考えています。それにより継続的かつ多くのテーマが上がってきて、成功の確率が上がると思います。
注意することとして、新規事業は既存事業とマネジメントや考え方が異なるため、既存事業の考え方を当てはめると上手く行かないことが多いようです。


・新規事業はボトムアップが理想的
・小さく産んで大きく育てる(路線変更を認める)
・仕組みづくりをすることで、継続的に新しいテーマが生まれる
・既存事業の考え方を押し付けない

一緒に新しいテーマを考えましょう。そして研究者が楽しく、率先して新規事業を生み出せるような仕組みを作っていきませんか。

2021-07-30 20:44:00

新規事業の営業は誰がやる?

新規事業のテーマの選定/立ち上げのコンサルティングをやっていて質問としてよく出るのは、誰がマーケティングをやるか? ということです。

既存の事業の範囲の中の新規であれば事業部のメンバーが担当してくれます。
しかし新規事業なので、その領域に対して土地勘のある営業の方や事業部の方はいない場合がほとんどです。
そのため新規事業は、開発者や提案者が技術の内容を理解した上で、顧客候補や市場と対話する必要があります。
一般的に技術者/研究者は市場に出て話をする経験が少ないく、マーケティングが苦手ですという方が多いです。


実際にコンサルティングをしていても、
誰がやるのですか?
どうやったら良いのですか?
そんな質問が出てきます。

コンサルティングでは、私が実際に想定顧客にヒアリングを行ってそのやり方をお教えしたり、一緒に顧客を回ったりしています。
OJT的な感じではありますが、慣れていない人にとってはかなり実例として役に立つようです。
また、想定顧客の調べ方やアプローチの方法などもWebや特許検索を使いながら一緒に考えながら進めています。
顧客からの直接的なコメントを受けることで開発の方向性に気づくことができたりします。
それは技術の理解ができていない営業にはできないことです。

開発者/研究者は自ら想定顧客にヒアリングしてみましょう!
新しい発見、開発のヒントがあるはずです。

新規事業創出のコンサルティングでは、テーマが見つかった後には仮説検証のため想定顧客へのヒアリングは必須です。お気軽にご相談ください。
技術士は厳しい秘密保持義務がございますので、安心してご連絡いただければと思います。
takamichi あっと fujii-tech.com (あっとを@にしてください)

2021-07-28 00:31:00

モノを見る目を育てる

10年以上前に日刊工業新聞に投稿した記事です。観察することの重要性を記事にしています。今も昔も変わっていないですね。

 

私は30代前半の頃、大手電機メーカーの研究所を退職された技術者Aさんと約2年間一緒に仕事をしたことがあった。正確には仕事を一緒にしたというよりも、毎日、指導を受けていた。かなり熱い方で、技術者の心構えから、データの見方、整理の仕方、ビジネスの心構え、仕事とは、リーダーとは、などを教えられた。

実験ではAさんはいつも大きなルーペを持って、実験装置(半導体材料の薄膜を製造する真空成膜装置)の周りや、装置の中、できた膜を真剣に見ていた。「現地現物でモノをちゃんと見ることを怠るな!そして、何かおこっているか考えろ!」というのが口癖だった。

私が都合によりその会社を退職するときに尊敬するAさんから、大きなルーペをいただいた。涙が出るほど嬉しく思ったと同時に、それは技術者としての基本姿勢を忘れるなという強いメッセージであると感じた。

気相成長による薄膜形成技術が私の専門である。その中で、得られた薄膜の表面をルーペや光学顕微鏡にて自分の目で観察することで、凹凸の具合、クラックの有無、剥離の有無、膜へのゴミの付着、結晶粒の大きさなどをチェックできる。これらの情報から、私は成膜中のプラズマの状態やその膜への影響を知り、膜成長の様子をイマジネーションすることができる。それは問題解決のヒントになったり、次の実験条件の決定に生かしたり、さらには新しい発明につながることもある。Aさんの指導を受けるまでは、薄膜の観察を行うのに、顕微鏡で直接自分の目で観察することよりも、他の高度な分析手法に頼ろうとしていた。しかし今では、まず現場にて自分の目で何が起こっているか観察し確認することを第一に行っている。

さて、ルーペをいただいてから約10年後、私は技術者として一人前となり、憧れの技術士を取得した。そして、アメリカのシリコンバレーのベンチャー企業の製造現場に立つ機会があった。そこで驚くべきモノを目撃した。最新鋭の大きな半導体装置の前に、小さなルーペが置いてあった。装置のメンテナンス担当者が、実験の時やトラブル発生時にそのルーペを使い、モノをつぶさに観察していた。最新のハイテク設備がたくさんあるシリコンバレーにおいて、ルーペという原始的ではあるが、最も迅速かつ確実な評価方法が使われているとは本当に驚いた。

技術者としてモノを見るという基本は世界共通のようだ。私自身、技術者として現場に立ち、モノを見ることで研究から開発までの問題解決を進めてきた。これは、技術者としての基本を教えてくれたAさんのルーペの教えのためであろう。この教えを、若い人に言葉と実際の姿で伝えて行くことが、Aさんへの恩返しであると同時に先輩技術者としての役割である。

あれから10年以上たった今、私は若い人を教える立場になり、モノを見る目の大切さを偉そうに話をしています。先輩から受け継いだ技術者としての姿勢を自分なりにアレンジして一生懸命伝えています。それが、先輩への恩返しでもあり、日本の製造業の発展のためだと思っています。

 

 

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2021-07-07 22:08:00

新規事業に繋がる強み分析

 

1.強み分析の大切さ
前回のセミナーにて、技術の棚卸しに関して、事例を含めて講演をしました。大企業においても意外と強み分析ができていないようで、課題として認識されていたようです。実際に、企業で行う強み分析は企画部門など技術の現場から離れたメンバーで行われることが多く、実際の技術の現場と乖離があるようです。中小企業では強みの分析が行えていないところが多いように思います。新規事業を考える際には、強みを足がかりにする必要があるため、しっかりと分析することが重要かと思います。

2.強み分析は特許、商品、そして人

一般的には強み分析は、
①自社の特許の分析
②自社の商品や製造工程からの強み
③社員の保有する強み
から考えます。

一般的に強み分析は自社の特許を分析しそれによって得られている利益の源泉となる技術を強みとします。中小企業の場合は、特許自体が少なく、そこから強みの分析が難しい場合が多いです。その際には、②の観点で考えることをお勧めいたします。商品や製造工程、更には顧客、バリューチェーンなど多面的に見ていくと意外と強みがあるものです。さらに、新規事業を推進するのは現場のメンバーになるのですが、そのメンバーがもつ強み(得意分野)でも良いと思っています。推進者のモチベーションも重要な要素だと思います。

 

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3. 事例
これまでいくつかの企業の新規事業創出のアドバイザーをやっているのですが、大企業でも現場視点での強み分析ができていない場合が多く、新たに分析した強みから、新事業のテーマUPされることがあります。また、技術を扱う商社さんのコンサルティングでは、業界の強みと営業の強みから新たな商品の提案につながっています。
私のような出身母体の異なる外部の人間と議論することで、意外な強みが見えてくるものです。

 

初回無料で相談してみませんか。
技術士は厳しい秘密保持義務がございますので、安心してご連絡いただければと思います。

takamichi あっと fujii-tech.com (あっとを@にしてください)