日々の気づき/ブログ
研究開発が失敗する理由の7割は「テーマ選定」かもしれない話
研究開発が失敗する理由は、「技術が難しいから…」と思われがちです。
でも現場で見えてくるのは逆で、失敗の多くは「テーマの選び方」でほぼ決まっています。
これまで多くの企業でコンサルティングをさせていただいた私の体感(あくまで個人的意見です)では、失敗の約7割がテーマ選定ミスです。
ダメなテーマは、優秀な人が頑張ってもダメ。エースを投入しても、なかなか状況は変わりません。
この記事では、よくある失敗パターンと、開始前に見抜くためのポイントを整理します。
1. 失敗の内訳(体感)
あくまで私の主観ですが、コンサルや現場支援で見える失敗要因は、ざっくり次の割合です。
テーマ選定のミス:70%
・顧客ニーズとの乖離
・研究者の自己満足テーマ
・流行りテーマの後追い
・社内受けだけで決まったテーマ
技術的に達成困難:10%
・これは“仕方ない”領域もある(ただし見積り精度で減る)
市場縮小・タイミングが悪い:10%
・顧客環境が変わって需要が消える
・早すぎて市場が追いつかない(研究所発あるある)
組織的要因:7%
・意思決定の質(レビュー不全、責任の所在不明、政治)
成功:3%
当たり前だけど、成功は少数派
ポイントはここです。
技術が難しくて失敗するのは、全体から見れば“少数派”。
多くは、技術に入る前に勝負が決まっています。
2. 「ダメテーマ」の典型パターン3つ
ここが一番多い。特に大企業の研究所や大企業のR&Dで頻出です。
(大企業でなくても、いわゆる「大企業病」になっている会社は同様かもしれません。)
パターンA:「少しの性能UP」
一見まともに見えます。でも実装まで考えると、地雷率が高いです。その性能UPを量産まで持っていくと、ばらつき・歩留まり・信頼性の問題で崩れる場合があります。また、新しいモノやプロセスに対して顧客側は、評価・認証・工程変更が必要になります。つまり導入コストが高い。これは「スイッチングコスト」と呼ばれるもので、その負担が“ちょっとした性能UP”のメリットを打ち消してしまうことが多いです。
結局、顧客側の判断はこうなりがちです。
「今のままで困ってないなら、ちょっとの性能UPは不要だよね」
パターンB:「少しのコストダウン」
これも同じ構造で失敗します。顧客にとっては、コストダウン以上の“スイッチングコスト”が発生します。
現場は保守的になりやすいので、少額のメリットでは動きません。
「少し安い」は、最も苦しい戦いになりやすい。
ただし、大幅なコストダウンであれば、スイッチングコストを考慮しても導入メリットが出る可能性はあります。
パターンC:「自社都合の部材改良」
「うちが得意な材料を改良したので、採用してほしい」系のテーマです。自社都合が先に立つと、顧客の工程・管理・使い勝手が無視されやすい。
もちろん、顧客のKPI(歩留まり、納期、品質保証、調達安定)につながり、メリットが明確なら採用の理由になります。
しかし、それが弱いと「導入する理由」がありません。
3. 結論:一番重要なのは「顧客メリット」
当たり前の話ですが、最重要の視点は「顧客メリット」です。
私はコンサルティングの現場ではこの部分に着目し、
ペインニーズの見つけ方、顧客課題の発見方法を重点的にお伝えしています。
新規事業の立ち上げは簡単ではありません。
だからこそ、価値があるものだと思います。
研究開発の努力の前に、戦う場所を決める。ここが一番重要です。
一緒に考えてみませんか?
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12/2 の午後からILSにてピッチを行います。
ご興味がありましたらWebにて参加をお願い致します。
https://ils.tokyo/
最近の結果として非常に結晶性の高い膜が低い基板温度で得られています。
出資及び共同開発してくれる企業様を募集しております。
よろしくお願いいたします。
さて、
新規事業のコンサルをやっている中で他社に偉そうに語っているので自分でもやらないとなぁと思って始めたテーマです。その意味ではコンサルタントとしては超優秀なのだと思います(笑)。さらに学んだステップを企業様の新規事業創出のアドバイスに活かすことができればと思っています。
素材系BtoBの新規事業創出について考える
最近、化学メーカーさまから新規事業創出に関するご相談をいただく機会が増えてきました。複数の企業から伺うのは、「デザイン思考」や「最終顧客のニーズ」を起点に新規事業を進めようとする取り組みが増えているということです。デザイン思考には多くのメリットがありますし、最終顧客を起点に発想する姿勢も非常に重要です。ただし、素材系BtoBの領域では、業界構造の特性から“適用のしかたに工夫が必要”だと感じることが多いのも事実です。
■ 素材BtoBは“最終顧客”が遠い
素材の世界では、最終ユーザーに届くまでに複数のメーカーや加工プロセスが介在します。また、素材は機能・性能で付加価値を出す領域であるため、素材研究者が最終顧客の利用シーンを詳細に想像することは簡単ではありません。例えばPET樹脂を開発している研究者が、最終製品のユーザーマインドを深く理解するのは難しく、時間がかかります。また、考えることができたとしても自社の課題に落ちてこない場合が多いです。
■ 私のワークショップ・コンサルで重視していること
私は、素材系BtoBでは「技術の構造化 × 成長市場探索」の組み合わせが、比較的再現性が高いと考えています。
例えばPET樹脂を開発している会社において、
・PET樹脂の特性・構造・製造工程を整理し、強みを明確化する
・その強みが活かせる可能性のある市場・用途を横断的に探索する
・既存材料の代替シナリオを検討し、技術的に成立するかを見極める
・関連特許・論文を調査し、実現可能性やホワイトスペースを検証する
といった流れで進めています。
素材領域ならではの強みにフィットした方法論として機能するものです。
■ 実例:衣料用素材が「半導体用途」に転用できたケース
過去には、衣料用途で使われていた素材を詳細に分析し、特許を数千件調べた結果、構造を少し改良することで半導体プロセスに適用する材料として価値を出せることが分かった事例があります。これは、素材特有の構造・機能に目を向けたからこそ生まれた発見でした。
■ 「派手さ」より、“業界構造に合った現実的アプローチ”を
デザイン思考を否定したいわけではありません。
むしろ、うまく組み合わせれば非常に有効です。
ただし、素材BtoBでは、
・技術の深い理解
・産業全体の構造把握
・特許・論文からの裏付け
・成長市場との適合性
といった“地に足の着いた探索”が成果を出す鍵になることが多いと感じています。
■ まとめ
・素材BtoBでは、最終顧客が遠いため適用には工夫が必要
・技術の構造化 × 市場探索 × 特許分析が相性の良いアプローチ
・素材固有の強みを活かす手法が大切
・実例として、衣料素材を半導体用途に転用したケースもあり
素材系の新規事業でお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください!
新規事業創出:地方活性化のためのトラフグの陸上養殖について
トラフグの陸上養殖について
7月に、富山県氷見市で養殖事業の会社を立ち上げました。
約5年前にコンサル先の企業と人工海水を共同開発したことをきっかけに、養殖メーカーとのお付き合いが始まりました。私自身は、地域活性化の構想や会社の利益の仕組みづくりを担い、企画を進めてきました。
地方の活性化が大きな目的のため、大企業のような大規模なものではなく、地域の特長を活かした養殖を目指しています。
地域ブランド化
ふるさと納税との連携
地元の旅館や飲食店との協働
地域産物を餌に取り入れることでの差別化このモデルを他の地域にも展開できればと考え、活動を続けています。
企業様や地方自治体など、ご関心のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。
なお、私自身は半導体や素材が専門なのですが、新規事業って全く同じなんですね。
お魚さんからパワー半導体まで頑張ります !
デジタル化と信頼の価値の変化
先日のブログで、ものづくりにおけるデジタル化の影響について話をしました。
今回の話は、それをさらに掘り下げた内容です。
あるSNS投稿で、「商社から低コストばかりを求められ、事業が成り立たない!」という声を見かけました。この背景にも、やはりデジタル化の影響があると感じます。
かつては、顔なじみの業者や商社との“長年の付き合い”や“信頼関係”をベースに取引が行われていました。多少コストが高くても、「あの会社なら大丈夫」という信用で選ばれていたわけです。しかし、デジタル化によって状況は大きく変わりました。
世界中の企業とワンクリックで比較される仕様が明確になりました簡単なものはどこでも作れるオーバースペックな品質は仕様に現れず、差別化にならない信頼や信用も、納期と仕様を満たしていれば、価格競争に吸収されてしまうこうして、“目に見えない価値”が通じにくい時代になっています。結果、製品は仕様通りに動けば十分とされ、コストがすべての判断基準になりやすくなりました。仮にすぐに壊れたとしても、「設計の問題」と片づけられるかもしれません。
では、どうするか?
既存製品を作り続けるなら、海外メーカーに勝てるような超低コスト化を目指すしかありません。ですが、それも限界があります。だからこそ、「コストではない何か」で勝負しなければならない時代です。
私は、「意味のあるもの」「価値の本質」に立ち返る必要があると思います。価格では測れない新しい価値、新しいニーズを見つけ出し、それを形にしていく。それが、これからのものづくりに求められている姿ではないでしょうか。
社会は変化しています。競争も厳しくなっています。ですが、だからこそ今、新しいものを生み出すチャンスもまた広がっています。
一緒に、新しい“意味あるものづくり”を考えてみませんか?






