日々の気づき/ブログ

2023-12-03 20:49:00

市場変化と企業内課題: 大企業が直面した技術開発プロジェクト失敗の教訓

新規事業を上手く運営している大企業でさえ、失敗事例は数多く存在します。私が経験したいくつかの事例を、生々しい内容をデフォルメしてお伝えします。

2000年頃、将来大きく成長が期待されていた分野に焦点を当て、自社の得意とする技術を活用した商品開発を進めていました。このプロジェクトは大学からの技術をベースにし、社内で改良を加えた素材を使用していました。全社を挙げた大規模な取り組みであり、比較的大きな研究予算と数十名の研究者が関与していました。多くの困難を乗り越えて試作品が完成し、新聞で大々的に発表されました。これは商品の発売告知ではなく、「このような製品を開発した」という趣旨で、数年後の市場導入を目指し、ニーズを掘り起こすためのマーケティング宣伝でした。

しかし数年後、技術はある程度完成していたものの、この商品にはもはや需要がなく、さらに安価な代替技術が進歩していました。この情報は先に述べた新聞発表の時点で既に明らかでしたが、多くの関係者が関与していたため、プロジェクトをただちに中止することはできず、さらに関係者は認知のバイアス(「ライバルの技術は失敗するだろう」「自社の技術の方が優れている」)に囚われ、ネガティブな情報を上層部に伝えることを避けていました。その結果、莫大な予算を無駄に消費し、顧客の関心が薄れても顧客開拓や技術改良を続けることになりました。

最終的に、経営トップが交代した際に、このプロジェクトはひっそりと中止されました。

この話におけるプロジェクトの失敗原因は主に以下の点に集約されます:
・市場の変化への対応不足: プロジェクトが進行中に該当商品の市場ニーズが変化し、代替技術が進歩したにもかかわらず、これらの変化に対応するための適切な戦略の調整が行われませんでした。
・組織内のコミュニケーション不足: ネガティブな情報が上層部に伝えられなかったため、組織として適切な意思決定ができませんでした。これは、情報の隠蔽や認知のバイアス(自社の技術や製品に対する過度の楽観視)によるもので、結果的に経営層が現実に即した決定を下す機会を失いました。
・リソースの無駄遣い: 大企業の構造と関係者の多さにより、プロジェクトの即時中止が困難であり、結果として無駄な予算と時間が消費されました。これは、組織の柔軟性の欠如と迅速な決定を下す能力の不足を示しています。
・トップマネジメントの方針不在: 経営トップの方針やリーダーシップの不在が、プロジェクトの中止を遅らせた可能性があります。組織のリーダーが明確な方向性を示し、迅速な対応を行うことは、このような状況において非常に重要です。

新規事業の失敗の理由は多岐にわたりますが、これは一つの事例として紹介しました。同様の事例は多数存在すると思いますが、上手くコンサルティングを活用し、方向性を修正していくのが重要です。

 

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2023-11-23 21:23:00

新規事業成功の秘訣:魔の川と死の谷を越える実践的戦略

新しいビジネスを立ち上げる際、多くの企業は予想外の障害に直面します。これらの障害はしばしば「魔の川」と「死の谷」と呼ばれ、製品開発から市場への導入までの道のりにおいて重要な役割を果たします。

 

魔の川:イノベーションの障壁

「魔の川」とは、基礎研究から製品開発フェーズへの移行を指します。この段階では、技術を市場のニーズに合わせて適用し、実用的な製品に変える必要があります。このプロセスで製品化の見通しが立たなければ、投資した資源が無駄になるリスクがあります。この障壁を乗り越えるためには、技術と市場の両方の理解が不可欠です。

死の谷:市場導入の困難

一方、「死の谷」は製品化から事業化への過渡期を指します。この段階では、生産ラインの構築や流通経路の確保など、膨大な資金と労力が必要となります。ここでリソースを失うと、事業に大きな打撃を受ける可能性があります。

ダーウィンの海:市場での生存競争

さらに、製品やサービスが市場に導入された後は、「ダーウィンの海」という新たな障害が待ち受けています。競合他社との競争、製品の差別化、顧客評価など、市場での生存競争に勝つことが成功への鍵となります。

解決策:フレキシブルな計画と継続的な評価

これらの課題に対処するためには、フレキシブルな計画と継続的な評価が必要です。私のコンサルティングやセミナーでは、新規事業創出時にこれらの障壁を念頭に置いてテーマを設定します。すべての問題を解決する魔法の解答はありませんが、計画に柔軟性を持たせ、市場や技術の変化に迅速に対応することが成功への鍵です。

新規事業の道のりは決して容易ではありませんが、これらの障害を理解し、適切に対処することで、成功への可能性を高めることができます。

 

参考:2024.3.4セミナー https://www.rdsc.co.jp/seminar/240314

 

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2023-11-05 10:52:00

新規事業開発のパートナー:コンサルティングの実績とその効果

3年前、私はある企業の新規事業開発をサポートする機会を得ました。その企業は、自社の強みを活かす新規分野への発展を求めていました。私の役割は、その目標を達成するための具体的な提案を行い、戦略立案から実行までをサポートすることでした。

私の提案は、企業の強みと市場のニーズを結びつけるものでした。企業様の強みはニッチな分野でしたが、いくつかの新規事業のアイデアをご提案し、議論を重ねて有力な候補を選定いたしました。そして、その提案を具体化するために実験方法についてのアドバイスを提供し、さらに将来の顧客候補をイメージしたリストを作成することで、事業の方向性を明確にしました。

私のサポートから2年後、その成果は展示会にてプロトタイプの展示により証明されました。その展示会ではそのプロジェクトは注目を集め、その価値が認識されました。今はまだプロトタイプですが、これからさらに変化、進化していくものだと考えています。

私のサポートは、企業の事業だけでなく、企業メンバーの成長にも貢献したように思います。企業メンバーに新規事業のビジョンや戦略を共有し、彼らのスキルや知識を向上させるためのフィードバックやコーチングをOJTのような形で行いました。企業メンバーが自信を持って新規事業に取り組めるようにサポートしました。私自身も企業メンバーと一緒に学び、成長し、成功を喜ぶことができました。

新規開発事業には時間がかかりますが、その価値は大きなものです。実践的なコンサルティングで、一緒に成長を実現しましょう。新たに一緒に価値を創造しませんか?私の経験と知識を活用して、御社の事業を次のレベルへと引き上げましょう。

 

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2023-09-21 00:09:00

新規事業の成功を妨げる大企業病とその克服策

新規事業を進める上で避けたい大企業病があります。以下がその課題です。

・チャレンジの減少

既存事業が安定している企業ほどチャンジ精神が少ないのではないでしょうか。新規事業の場合はチャレンジしても成功する確率よりも失敗する確率の方が高く、ボーナスの査定も下がってしまいます。更にチャレンジしたいと思う若い人が会社に見切りをつけて転職することもあります。そのようなことが繰り返されるとチャレンジする文化がなくなっていきます。

・臨機応変に対応できない

新規事業は進めていくうちに当初の計画と異なる形に変化する場合が多々あります。それは顧客のニーズが明確になってきたり、背景技術が進歩していったり、新たな技術が開発できたりするからです。しかしながら大企業の場合は、きっちりと計画を立てて、計画通り進める文化がありますから、いい方向に変わっても、悪い方向に変わっても修正しにくいです。一度決めたことをやり通す大企業の文化が臨機応変な動きが必要な新規事業には向いていない場合があります。

・顧客よりも上司の機嫌を取る

大企業はしっかりとした組織ですので、ボーナスの査定、人事評価は上司が握っています。そのため顔色を伺うのはある程度は仕方ないのですが、顧客ニーズよりも上司の顔色、社内政治を新規テーマの進捗に影響させてはダメです。

・意思決定が遅い

縦割り組織が原因で、意思決定が遅くてチャンスを逃しがちです。秘密保持を結ぶのに、上司の許可、役員の許可が必要で、法務部のチェックが入り、締結まで最短で1ヶ月、だめだと3ヶ月ぐらいかかる。中小だと数日でできる。何かの判断をする際に担当者には裁量権がなく、意思決定ができない…。このような問題はスピード勝負のビジネスではありえないです。

対策はそれぞれの項目に対して進めていくしかないです。大企業の良い面の文化ややり方を変える必要があるため、私自身のおすすめは新規事業の組織は、従来組織と切り分けるのがいいのではと思っています。早い意思決定と顧客重視の思考、そして評価もチャレンジでしっかり評価することで、成功に近づくのではと思います。

 

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2023-09-15 12:08:00

特許分析からの未来予測:競争力を高める商品開発の戦略

特許の分析を通じて将来の商品開発を先取りする方法について、ブログでご紹介いたします。特許は新しい技術やアイデアを保護するために申請されますが、その内容は同時に公開されます。要するに、特許を読むことで、将来どのような商品が開発される可能性があるかが見えてきます。しかし、特許は専門的な用語や図表で記載されているため、一般の方にとっては理解が難しいことがあります。したがって、特許分析のスキルを身につけることで、競合他社や市場動向に先んじて、自社の商品開発に役立てることができるのです。

具体的には、最新の特許を解読することで未来の技術動向を予測できます(下図)。

例として、Appleの顔認証技術に関する特許を見てみましょう。ただし、これは筆者の独自の見解であり、正確性には欠ける可能性があることをご理解ください。

この特許は2009年に公開され、商品化は2017年に実現しました。その間、研究開発が行われていました(下図)。携帯電話メーカーであれば、Appleの特許に依存せず、競合力を維持するための技術を開発することも考えられるでしょう。しかし、他の企業にとっては、顔認証技術がスマートフォンに組み込まれることを前提に、新しいサービスや技術の開発を検討する重要な機会と言えます。

2009年にこの特許を読んだ企業は、以下のような問いかけを行うかもしれません:

  • 顔認証技術がスマートフォンに組み込まれた場合、社会はどのように変わるか?
  • 顔認証を活用した便益のあるサービスは何か?
  • これらの要素を組み合わせて新しいプロダクトやサービスを提供できないだろうか?

このような視点から、自社の商品企画を練ることができます。そして、2017年に商品が実現する際には、他社に比べて圧倒的な競争優位性を持つことでしょう。

このように特許を読むことで、新しいビジネスのアイデアを発見することも可能です。私はコンサルティングにおいて、他社の特許を活用して新規事業のアイデアを練るお手伝いも行っております。お気軽にご相談ください。

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