日々の気づき/ブログ
研究開発テーマが生まれない会社の共通点 ~アイデア不足ではなく、仕組みの問題~
「新しい研究開発テーマを考えてほしい」
研究開発部門ではよく聞く言葉です。しかし、なかなか新しいテーマが出てこない。出てきても既存製品の改良や、現在の技術の延長線上にあるものばかり。
これは研究者の発想力や能力の問題なのでしょうか?
私は必ずしもそうではないと思っています。むしろ、新しい研究開発テーマが生まれにくい組織になっていることが問題ではないでしょうか。
1.なぜ新しいテーマが生まれないのか?
いくつかの共通点があるように思います。
① 目の前の仕事で忙しすぎる
② 既存事業の延長でしか考えられない
③ 新規テーマなのに既存事業と同じ基準で評価する
などです。
私は特に③が大きな問題だと思っています。
①は業務量や人員配置の問題です。②は発想法を学び、異分野や市場を見る訓練をすることで、ある程度は改善できます。
しかし、③は研究者個人の努力ではなかなか解決できません。
「市場規模は?」「売上はいつ立つのか?」「本当に顧客はいるのか?」上司や経営層から、このような質問をされることがあります。
もちろん、会社経営の視点ではどれも重要な質問です。しかし、まだアイデア段階のテーマに、既存事業と同じような確実性を要求してしまいます。
新規事業がすべて予想通りに進むのであれば、とっくに大きなビジネスがいくつも立ち上がっているはずですよね?
そもそも、新規事業は不確実なものです。にもかかわらず、最初から確実な市場や売上を求めてしまうと、不確実性の高いテーマは早い段階で消えてしまいます。
そして、結果として残るのは既存事業の延長にある無難なテーマばかり。新しいテーマを出せと言いながら、新しいテーマが通らない評価の仕組みになっているのです。
2.新規テーマは成長段階に応じて評価する
では、どうすればよいのでしょうか?
私は、テーマの成長段階に応じて評価基準を変えることが重要だと考えています。新規テーマだからといって、評価を甘くするという話ではないと思います。
最初から完成度の高い事業計画を求めるのではなく、その段階で何が分かっていて、何が分かっていないのかを確認することが大切です。
一般的には、ステージゲートという考え方があります。開発のフェーズごとに評価項目を設定し、次の段階に進めるかどうかを判断する仕組みです。各社基準があるようです。私もコンサルティングでは一定の基準でお話しすることが多いです。でも、商品化までフェーズで分割して抜け漏れのないような構成になっています。
例えば、初期のアイデア段階であれば、
・想定する顧客は誰なのか?
・どのような課題やニーズがあるのか?
・自社技術の強みを活用できるのか?
・市場の規模感はどうか?
まずは、この程度から始めてもよいと思います。
この段階では、仮説が含まれていて当然です。大切なのは、その仮説に検証する価値があるかどうかです。そして、次の段階では顧客へのヒアリングや技術検証を進め、市場性や技術的な実現可能性を確認していきます。
さらに開発投資が大きくなる段階では、市場規模、競争優位性、収益性などをより厳しく評価する。つまり、最初から答えを求めるのではなく、段階的に不確実性を減らしていくのです。
もう一つ重要なのは、上司や経営層の役割です。
アイデア段階で「本当に売れるのか?」と問い詰めるよりも、「それを確かめるために、次に何をすればよいのか?」と問いかける。そして、足りないところは積極的にサポートを行う。その検証に必要な時間と、少額でも予算を与える。もちろん、検証の結果、可能性が低いと判断すれば撤退すればよいのです。その際はステージゲートの項目にのっとって進めれば担当者も納得します。重要なのは、不確実だから却下するのではなく、不確実性を減らすための検証機会を与えることだと思います。
3.まとめ
「新しいテーマを出せ」と言いながら、出てきたテーマを潰していないでしょうか?
新規事業には不確実性がつきものです。その不確実性を最初から排除しようとすれば、これまでにない新しいテーマほど採用されにくくなります。もちろん、すべてのアイデアを育てる必要はありません。見込みのないテーマは早めに撤退することも重要です。
ただし、その判断はテーマの成長段階に応じた評価で行うべきではないでしょうか。
新しいテーマを生み出すには、研究者の発想力だけでなく、未完成のアイデアを評価し、検証しながら育てるマネジメントが重要だと思います。
一緒に新しいテーマを考えてみませんか? 会社に適したステージゲートの項目も考えながら進めるとよいいいと思っています!